ここ数ヶ月、我々の業界で最も会話に登場してきた単語ではないでしょうか、コチョーキン。これは「雇用調整助成金」の略語で、業績悪化時に従業員を休業させて雇用を守る企業に支給されるもので、コロナ禍がいまだ収まりきらない今、良くも悪くも注目度の高い助成金です。当法人でも多くのご相談・申請代行のご依頼をいただき、対応に追われています。

 このコチョーキン、従業員に休業を余儀なくされる企業にとっては命綱のような存在のはずですが、支給額が低い・書類が煩雑・支給が遅い、と3拍子揃っており、非常に評判の悪い助成金でもあります。いかにも役所的で、使い勝手の悪さがよく指摘されています。

 それもそのはず、もともとこの助成金は石油ショック後、大手製造業を対象に、リストラで失業者が大量に発生するのを未然に防止するために設けられた経緯があります。資金的余力の少ない中小・零細事業者等の利用をあまり想定してこなかったことが、現在の使いにくさを招いているのかもしれません。1970年代から続く半世紀前の遺物ですね。

 また、成長中の企業が受給しにくい、あるいは不振企業の延命に使われやすい等といった理由で、従来から批判を受けている助成金でもあります。企業にリストラを先送りさせ雇用を維持しても、結局、経営が行き詰まって解雇に至る企業も多く存在するからです。一時しのぎのために社会全体の産業構造が歪められているとすれば、それは問題だと思います。

 そういう意味で、コチョーキンは緊急時にこそ設定すべきものであり、常時利用できるということには違和感があります。今回のコロナ禍を含め国難レベルの状況でこそ、その状況にふさわしい支給要件を設定し、助成する。それでこそコチョーキンの存在意義があるのではないでしょうか。平時にダラダラと経営難の企業を延命するような制度であっては、不振企業が人材を温存してしまうだけで、人材の流動化も進まなければいつまでたっても行き過ぎた雇用維持社会からは脱却できないでしょうね。

 このコチョーキン、「もぐらたたき」と揶揄されるように、政府は国会で問題点を追及されるたびに修正していますので、支給金上限の拡大や書類の簡略化など、今更ながらようやく形にはなりつつあるように思います。現場で対応する我々は修正に次ぐ修正で振り回されっぱなしですが、それでもこの国難においては意義のあることと誇りをもって対応しています。経営に携わる方々は、従業員の雇用を守るため、大いに活用すべきだと思います。


 

大阪支店長 𠮷村 徳男