職場の雰囲気に合わない人材は淘汰され居場所を失い去っていきます。仮に20名の会社でこれらの理由で2名退職した場合、原因はこの2名なのか、企業なのか、それとも残りの18名なのか。最近そんなことを考えます。

 離職理由に関するあるデータを見ると、男女間で多少差はあるものの、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため」、「人間関係(特に上司)がよくなかったため」が上位を占めています。

 今後労働力人口が減少する中で企業は雇用維持が大きな課題となりますが、上記理由のひとつ目については、労働時間の上限規制や有休5日取得、同一労働同一賃金など法改正が後押しとなり、労働条件や福利厚生、待遇に関して様々な取り組みが必須となりました。否が応でも対策を講じていかなければなりません。

 では人間関係をよくするための取組は誰が主となって行うものでしょう。

 サイバーエージェント社では、人事評価の納得度が高い部署と低い部署の違いを調べたところ、納得度が高い部署は週に1回・月に1回など、上司と部下が頻繁に対話していることが分かったため、「先月の成果に対する振り返り」、「今月どうするのかという議論」、「中長期のキャリアの話」をポイントとして「月イチ面談」を実施し、離職率を大幅に低下させることに成功しています。この場合、主は上司(リーダー)ということになります。

 好かれなくてもよいから、信頼はされなければならない。嫌われることを恐れている人に、真のリーダーシップは取れない。

 これは故・野村監督の言葉です。リーダーの位置付けは企業規模によって様々ですが、部長・課長・係長、場合によっては社長自身となるでしょう。

 相手にとって必要なことであれば、嫌われること覚悟で伝えるのがリーダーの役割です。当然伝え方にはテクニックが必要でそういったスキルがリーダーには求められます。先のサイバーエージェント社で成果が出ているということは、こういったことがしっかりと実践できているからだと思います。


 退職していく人が悪なのか、雇用を守れない企業が悪なのか。それとも…。自戒の念を込めて、永く向き合っていかなければならないテーマだと捉えています。

 

福岡支店長 城戸 康行