新年度がスタートしました。街中では真新しいスーツに身を包んだ、おそらく新人研修中と思われる若者の団体を見かける機会も増えましたが、その初々しさにこちらも気分が上がります。ただでさえ期待と不安が交錯する時期に加えてコロナ禍でのスタート。不安のほうが大きいかもしれないですが、明るい未来を信じて是非とも社会人生活を謳歌してほしいと思います。

 そんな新たな年度が始まるちょうど1週間前、東京オリンピック・パラリンピックの聖火リレーが始まりました。また、いろいろな競技で代表内定が続々と決まっていますが、コロナが落ち着きを見せる気配もなく開催の是非が問われている一方、組織委員会前会長の失言や元演出家による開会式案など、皮肉にも我が国のジェンダー問題を浮き彫りにしたという意味でも注目を集めてしまいました。

 結論を求める男性と感情を交換したい女性。

 男女の恋愛を語るうえでよく目にする言い回しです。今の時代にこの表現が適切でないことは承知していますし、そもそも今回ジェンダー問題を取り上げるつもりもないですが、「これって人によるよね」と考える人も多いのではないでしょうか。極端に煽るような報道にも問題があるとはいえ、改善すべき点が山ほどあるのも確かですね。

 話は変わって、私も日々多くのクライアント先の経営者や担当者と接していますが、時として身の振り方や発言に悩むことがあります。

 結論を求める経営者と感情を交換したい担当者。

 恋愛と経営は違うため、個人的には結論ありきだと考えています。実際に起きている問題が問診だけで解決することは少なく、何かしらの薬(とりわけ効き目の強いもの)を処方し服用してもらう必要があるからです。

 しかし、今すぐ完治させることを望んでいない経営者も一定数いらっしゃいます。こういったケースで正解のみに比重を置いて接するとこんな言葉が返ってきます。

 そんなことは言われなくてもわかっている。

 癌は早期の発見と治療こそが最も有効な治療法ですが、ちょっとした風邪は時間が経てばそのうち治ります。ただし、誤った判断が取り返しのつかない事態を招くケースもあるため、この見極めこそが我々の使命だと思っています。

 日々忙殺される中、スピーディに効率よく目の前の業務をこなすことが求められます。ただ、こちらのスピードと相手のそれとは必ずしも一致しません。経営者といっても十人十色。また、会社の状況も違えばそこで働く従業員も千差万別。それぞれにあった最適を模索し提供していけるようになりたいものです。

 

福岡支店長 城戸 康行