労務管理がクローズアップされる昨今、経営計画(事業計画)の一つとして「労務管理の改善」を掲げる企業様が増えております。数ヶ月以内に改善を図ることを短期目標、1年かけて改善を図ることを中期目標、1年以上かけて改善を図ることを長期目標としているところが多いように思います。時間をかけすぎるとリスクが残りますし、何も検証せずに早期に改善を図ろうとすると新たな歪みが生じてしまいますので、労務管理の改善は時間と手間が必要です。
 
 労務管理の改善を図る上で重要なことは、まず「検証」。これらについて、経営者や幹部、従業員とでは考え方に差がある場合が多いです。この乖離を把握するためにも、従業員からアンケートを取ったりして生の声を聞くことも必要でしょう。そして、経営者側の方々には生の声を受け止めるだけの器も求められます。これを踏まえて、できること・できないことの選別から短期・中期・長期目標に仕分けして改善を図る、というのが簡単なフローです。
 
 「検証」ができたら次は「実行」。この「実行」部分で頭を悩ませ、そして頓挫してしまう-。こうしたケースを何度も目にしてきました。
 
 なぜでしょうか?
 
 私が思うこうした企業様の共通点は「従業員に真意が伝わっていない」ことです。
 
 「今後弊社はこのようにルールを変える!」
 
 これだけ伝えて実行しようとしても、当然ながら変革する意味や本質を従業員が理解できていませんから、うまく実行できるはずがありません。
 
 対して、
 
 「弊社は○○が弱点となっている。だからこうして改善を図りたいんだ!」
「そのためには従業員皆の協力が必要だ、だから皆で会社を良くしていこう!」
 
 こちらの方が真剣度や熱意が従業員に伝わり、実行しやすいことはご理解いただけるでしょう。
 
 結局のところ、どれだけ素晴らしい経営計画(労務改善案)を策定しても、従業員に伝わりきれていなければ有効ではないということです。意味のあるものにするためには、経営計画を従業員に落とし込むこと・理解してもらうことが必須です。経営者側がすべきことは、「立派なものを策定する」よりも「従業員に落とし込む・理解してもらうためのアプローチを実践する」ことです。
 
 経営者側がこうした動きをしてくれることで、従業員側は少なからず良い反応を示すものです。この逆の場合ですと、会社を良くしようと思っての経営者側の行動が「不信感」となってしまうものです。
 
 経営者・幹部・従業員-。立場は違えど同じ組織の仲間です。立場は違えど目線は同じ。理想論かもしれませんが、企業様が変わろうとするその一助を担うことを使命に、今後も努めさせていただきます。

 

福岡支店長 木村 和人