何度かここでも書いたことがある通り、私はアマチュアのビッグバンドに所属して、趣味の範囲でのんびりとジャズバリトンサックスを演奏しています。総勢15名程度で演奏するビッグバンドスタイルなので、自分だけにスポットが当たることは、それほど多くありません。

 ところが先日、とあるジャズクラブでそんな私のリーダーライブを開催しました。バリトンサックスを持つ私が真ん中に立ち、私以外にはピアノとベース、そして曲によっては隣にもう一本のサックスという編成。その3名は全てプロミュージシャンの方々です。

 普段はセミナーや社内勉強会の講師等で人前に出て話す機会が割にあるほうなので、「ステージで緊張する」ということはあまりないのですが、このときばかりは勝手が違います。プロミュージシャン達を従えてジャズを演奏する機会なんて初めての体験です。とはいえそんなことは言ってられませんので今まで必死に練習してきたことをステージで出すしかなく、緊張のあまりトチリそうになった1曲目をなんとか乗り切ったあとは、楽しんで演奏できたのではないかと感じています。

 今回のような少人数でのジャズの演奏(スモールコンボといったりします)では、プレイヤー同士がその場で音楽を作り上げていくことが多いのですが、その時は自分の演奏に精一杯になるあまり、後ろで鳴っているピアノやベースの音やリズムがあまり耳に入ってきていませんでした。しかしもっと余裕を持って周囲の音を聴き、その音に込められたメッセージを感じ取り、そこで刻まれているリズムを身体に取り込むことで、もう一段も二段も音楽のクオリティは高まるはずです。

 どれだけ自分から発信している場面であっても、常に周囲の音に耳をすませること。

 それは音楽を演奏する場面だけではなく、人と人が関わっていくなかで忘れてはいけないコミュニケーションの根幹であり、どんなときも大切にしなければいけないことだ。

 そんなことを、YouTubeにアップロードした動画に映る自分の姿を見ながら感じました。


 

兵庫支店長 増尾 倫能