組織で問題が発生したとき、「誰が悪いのか」を探してしまうのは自然な反応かもしれません。しかし、私はこの「誰かを責める」というアプローチに大きなリスクを感じています。なぜなら、個人を責めることは、長期的に見て組織に大きな悪影響を及ぼしかねないからです。たとえば、ミスを犯した社員が萎縮して行動が消極的になる、あるいは責任の所在が曖昧になり、同じ問題が繰り返されることがよくあります。
私が大切だと考えているのは、問題を「仕組みの課題」として捉え、改善につなげる姿勢を持つことです。責任追及に終始するのではなく、仕組みを見直し、再発防止に向けた具体的なアクションを取ることが、組織全体の成長を促進すると信じています。
たとえば、ある企業の営業チームで、重要なクライアントとの契約更新が期限に間に合わず、大きな売上機会を逃してしまったケースを考えてみましょう。マネージャーは最初、「担当者がスケジュール管理を怠ったせいだ」と考えるかもしれません。しかし、深掘りしてみると、実際の原因は以下のような仕組みの課題でした。
- 契約更新のスケジュールを管理するシステム自体が複雑でわかりにくかった
- チーム内での情報共有が不十分だった
- 繁忙期により担当者が一人で多くの案件を抱え、リソース配分が偏っていた
仕組みの課題に対しては個人を責めるだけでは再発防止につながりません。同じような失敗を防ぐためには、問題の原因を「仕組み」に求め、改善に取り組むことが必要です。
私が考える成功する組織の共通点は、問題の原因を個人に押し付けるのではなく、仕組みの弱点を徹底的に洗い出し、改善に取り組む姿勢を持っていることです。それは、責任を追及する「犯人捜し」ではなく、システムやプロセスを改善するための「プロセス検証」です。
たとえば、プロジェクト後に振り返り会議を実施し、感情的な議論を避けつつ「何が問題だったのか」を客観的に話し合います。また、使いにくいシステムや曖昧なルールを見直し、ミスを減らす仕組みを整えます。さらに、繁忙期に業務が偏らないようリソース配分を改善し、必要に応じて外部リソースを活用することも有効でしょう。
「誰が悪かったのか」ではなく、「何が問題だったのか」を問う姿勢こそ、組織運営において最も重要だと私は思います。問題を「仕組み」として捉え、改善に取り組むことが、社員一人ひとりのやる気を引き出し、組織全体の生産性を向上させるカギになるのではないでしょうか。
問題が発生したときこそ、仕組みをアップデートする絶好の機会です。私は、そうした視点を持ちながら、組織をより良い方向へ導いていくことが必要だと考えています。
神戸オフィス 春原 真起子