職場やプライベートで、人間関係に関して悩みを抱える方が多くいらっしゃいます。経営者の方から「どうしてあいつはいつもこうなんだ」「みんな俺の言う事なんてほとんど聞きやしない」といったご相談が寄せられることもあります。詳しく話を聞くと、これまでにもなんとかその状況を打開しようと、あの手この手を打ってきた。それでも相手は何も変わらない、というのです。

 具体的にどのような取り組みをされましたか?と尋ねると、そのほとんどのケースで「相手を変えるための様々な工夫」をされていることが分かります。ところがそれは一筋縄ではいかない。それはそうですよね。今までの数十年の人生で培ってきた経験や価値観によって形成されているその人の本質を、今さら他人が変えるなんて、至難の業です。

 私もマネージャーとして、どうにか部下を動かしたい、こんな風に考えて行動してもらいたいと苦戦した日々もありました。それがなかなかうまくいかず、冒頭の経営者のように「どうして!」と他人のせいにしてしまうことも。

 しかしある言葉と出会って、スッと肩の力が抜けました。

 ――他人と過去は変えられない。自分と未来は変えられる。

 カナダの精神科医、エリック・バーンズの言葉です。

 相手の本質は変わらなくても、自分が変化することで相手との「関係性」を変えることができる。関係性が変わると自らの発言に対する相手の反応や行動が変わるというのです。

 ただひたすらに部下の変化を求めるよりも、まずは先に自らの在り方を変えることが何よりも重要であると気づきました。

 これからもより良い未来を作るために、自分の在り方を見つめ続ける日々を過ごしていきたいと考えています。

 

兵庫支店長 増尾 倫能