皆さんが長年愛用されているものって、どういったものがあるでしょうか。
財布、靴、ベルト…といった小物から、車といった大型のものまで、人によって様々なものが長く大切に使用されてきたのではないかと思います。
では自身のことを考えてみたときに、真っ先に思い浮かぶのが自転車です。自転車といっても、巷で人気のあるロードバイクやクロスバイク等のスポーツサイクルではなく、シティサイクル。ただ、よく目にするママチャリと呼ばれるようなものでもなく、私と同世代の方は知っているであろう、いわゆる「カマキリ」になります。懐かしいと思われる方もいるのではないでしょうか。
カマキリとは1980年代から90年代にかけて街を席巻した自転車のモデルです。特徴的なのはアップハンドルになっていること。通常のハンドルよりも高い位置にあります。それが「カッコいいから」とか、「バイクっぽい」といった理由で流行っていたようですが、私はどちらかというと違った理由で、ハンドルが高いので腕の位置が自然と高くなり、姿勢が良い状態で乗れるのが自分好みだったというものでした。
そのカマキリのライバルが「トンボ」。昔、友達同士でどっちがいいのか論争をしていたことを思い出しました。最近ではめっきりカマキリが見られなくなりましたが、ハンドルがフラットなトンボは学生を中心に街で見かけることが多く、カマキリ派の私にとっては寂しいばかりです。
話の前段が長くなりましたが、私のカマキリは中学生時代に親に買ってもらったものですので、使用してからかれこれ30年近くが経過します。カゴやタイヤはもちろんのこと、チェーンやクランクといった部品まで、複数のパーツをこれまで交換してきました。そう考えると、初めの状態からは全く異なっているかもしれませんが、長年大切に愛用し続けています。
そんな普段使いの自転車を乗り変えようとしたこともありましたが、自転車そのものに情が湧いていることや何よりも乗り心地が抜群、乗ることにストレスがかからないといったこともあって、行動に移していません。今後も完全に潰れた場合はともかく、交換部品が存在する限りは乗り続ける予定です。
今は変化が求められる時代です。変化に対応できないのはダメだと言われることも多々あるかと思います。ただ、果たして全てがそうでしょうか。もちろん、周りが変わっていく中、自分だけが頑なにそれを拒み続けて取り残されるということもありますが、人にしてもモノにしても、変わらないということがその価値を反対に上げるということもあるはずです。私の自転車は変わらないというより、「変えたくない」という思いが強いものではありますが、私にとっては購入当時と比べものにならないぐらい、今この自転車の価値を感じています。
とはいえ、変わること・変わらないこと、どちらにも良さがあるには違いはありませんので、日々業務を遂行する上でも、考えをどちらかに偏らせるのではなく、一つ一つの事象に関して柔軟に向き合っていきたいと思います。
大阪支店長 東 武志