成功や失敗の瞬間に見える結果は実は氷山の一角で、その背後にはとてつもない量の情報と経験、そして思考の過程が存在します。この複雑で入り組んだプロセスに目を向けることこそが、単なる一過性の成功ではなく、持続的な成果を生むカギを握っています。短絡的な視点では、結果は孤立した事象に見えがちですが、実際には原因、過程、そして結果、この三つは不可分な関係にあります。この連鎖の全体像を理解することが、場当たり的な対応を超えて真の創造性を引き出すための前提条件です。
思考とは、この複雑なプロセスを有効に制御する鍵です。我々人間は、獲得した情報を処理し、経験を通してその情報を更に洗練することができます。この能力によって、行動が生まれ、習慣が形成され、最終的には人格や価値観、さらには人生そのものが形成されていきます。特にビジネスの世界でいうと、リーダーが部下やチームメンバーに対してこの「思考のプロセス」の重要性をどれだけ教え込むことができるかが、その組織の成長に直結します。
責任と権限委譲は、その思考力を高めるための極めて効果的な手段と言えるでしょう。委譲によって、人々は何をどうするべきか、どのように計画を立て、どう対応するべきかという事を自身で考えるようになります。この思考の過程で多々壁にぶつかるでしょうが、その壁を乗り越えた際の感動や達成感が人を成長させるのです。
人は責任を担って初めて自らが成長していると感じるのかもしれません。その感覚がさらなる成長を促し、自己実現へとつながるでしょう。もちろん、知識だけを持っていても不十分であり、その知識を実践に活かす「知恵」が絶対に必要です。知識を単に蓄積するのではなく、それを自らの行動に反映させることで、真の力が身に付くのです。
結局、目標に到達するには背後で何が行われているのかをしっかり把握する必要があります。もちろん、それには失敗も含まれています。失敗を恐れずにチャレンジすることで、失敗から学び、成長することができます。失敗は次のステップへの階段であり、その過程で得られる経験や知識、そして何よりも思考の資質が、次の目標達成へと導いてくれるのです。
そのためにも、結果だけでなくその過程に目を向け、反省と改善を繰り返すことが重要です。こうした姿勢が自分自身、そして組織全体の持続的な成長を支えます。その基盤となるのは、やはり「思考」です。この貴重な能力を最大限に活用し、日々の選択と行動、そしてその結果を通して持続的な成長を目指し続けたいものです。
福岡支店長 城戸 康行