4月から医師・運送業・建設業における時間外労働の上限規制が始まりました。これにより、長時間労働の是正が期待される一方で、労働時間の減少で地域医療や物流などに支障をきたす懸念もあると言われています。ただ、これを「2024年問題」として、各業界では早くから対策を講じて、これまでになかった取り組みをスタートさせています。
これは労働基準法の話ですが、我々は様々な法律やそれに付随した細かなルールの枠の中で、多くの制限を受けながら日常生活を送っています。法律に縛られず、自由に生活したいという人が少なからず存在するかもしれませんが、大多数は制限を受けるということに心地よさを感じているはずです。ある一定のルールがあることで、常にゼロベースで物事を考えなくてはならないというストレスから解放されますし、答えが明確になっていることで、余計な時間をかけることなく判断を下すことができます。
それでは、特に仕事をする上で、制限をかけることの主なメリットについて考えてみたいと思います。
一番分かりやすいのは効率性の向上です。制限をかけることで、資源や時間、予算などを最も効果的に使用できるようになります。これによって、無駄な活動や過度なコストを削減し、業務の効率性を高めることができます。たとえば、かの有名な家具・インテリアメーカーでは、客が求める価格から逆算して製品を生み出していると聞きます。その価格の中で、本当に必要な機能と適正な品質を追求する…これは限られた条件下で最適な解決策を見つける必要がありますが、こういう制限があるからこそ、新しいアイデアやクリエイティブな解決方法が生み出されるのだと思います。
他にも、優先順位の明確化を図る上でも役立ちます。曖昧な指示をしたり、依頼したことに期日を設定しなかったりすると、それが重要なものとして捉えられることなく、相手にとっては優先順位が下がります。重要なタスクとして認識してもらう上でも、必要最低限の制限をかけることが求められます。
また、企業という大きな視点から考えると、資源や投資の範囲を制限することで、不必要なリスクを避け、企業の安定性を確保することができたりするなど、リスクを管理するための防御的な役割を果たします。目標とビジョンに対する焦点を鮮明にする効果もあるかと思いますし、制限をかけることは必要不可欠なものといえます。
これだけメリットを挙げることができると、すべてに制限を設定して取り組んだ方がいいと考えてしまいますが、必ずしもそうとはいえず、柔軟性を保つことが重要になります。イノベーションの妨げになる可能性もあるため、過度な制限をかけ過ぎず、適度なバランスを考えなければいけません。
早いもので、新年度がスタートしてもうすぐ2ヶ月が過ぎようとしています。自身が掲げた目標、支店が掲げた目標への取り組みについても、最初が肝心です。まだ踏み出せていないものもありますが、こういうときは自分なりの制限をかけつつ、前へと進みだしていきたいと思います。
大阪支店長 東 武志