コスパ至上主義

支店長コラム

 最近、コストパフォーマンスを重視する人(特に若者)が増えているそうです。日本語で言えば「費用対効果」でしょうか。コスパと省略されることも多いですね。

 生粋の関西人である私も、非関西人には理解し難いといわれる「安い値段で買った自慢」をすることもありますので、コストパフォーマンスが良い/悪いについては比較的意識的であると思うのですが、それにしてもコスパ至上主義と言えるような行き過ぎた考え方はすこし寂しく感じます。

 人が物やサービスを購入するとき、どのような理由があるでしょうか。

 ある人は「この時代のこの楽器から出る音色を手に入れたいから」値札がひと桁多いビンテージ楽器を購入するために――清水の舞台から飛び降りる気持ちで――48回ローンを組むし、またある人は「あのお店の料理が食べたいから」はるばる高速道路を飛ばしてお目当てのお店に出かけます。

 他人から見たら、どうしてそんな古い楽器を大枚はたいて買うのか、何故わざわざ2時間も車に乗って県外の料理店に出かけるのか、まったく理解ができないかもしれませんが、本人にとってみればそこには趣味や趣向が存在し、自分なりの確固たる(○○だから手に入れたい/食べたいというような)価値観があるわけです。

 ところがそういった価値観がない場合の消費活動について(自分や他人に対して)何らかの正当化をしたい場合に、コスパというのはとても有効に作用するわけです。「私の買ったこれ、コスパ最高!(だから良い買い物でしょう?)」という具合に。

 最近は、私達のクライアントから、「うちの若い従業員が辞めるのに、退職代行サービスを使ってきた…」とお嘆きの連絡を受けることが増えました。別に退職代行サービスなんて使わなくても、直接退職の意思を伝えてもらえれば問題なく辞められるのにと。

 会社側はそう考えていても、本人はそう思っていないのでしょう。ひょっとしたら慰留されて面倒なことになるんじゃないか、ネチネチ文句を言われたらどうしよう、そんな風に心配したとき、たまたまネットで見た退職代行サービスの会社に3~5万円ほど払えば、もう会社に行かなくてもいいし、上司と話すこともない。時間や労力というコストを払う必要がなく、それこそ彼らが大好きな「コスパ最高!」のサービスに映るのかもしれません。
 

兵庫支店長 増尾 倫能