経営者や人事担当者の方と話していると、時々「この人がいなければ業務が回らない……」というお話をしばしば耳にします。
そんな時、私は決まって「本当にそうでしょうか。実際その方がいなくてもなんとかなるんじゃないですか?」と問いかけます。
考えてもみてください。その方がいなくなってしまうと、現場はそれなりにバタバタし、従業員たちへの負荷も増える。ひょっとしたら取引先やお客様へ迷惑をかけることもあるかもしれない。その一方で、地球は回るし太陽は昇る。今日は終わって明日がやってきます。極端な言い方に聞こえるかもしれませんが、結局のところそういうことです。もっと言ってしまえばサラリーマンというものはすべからく「代替可能」なのです。
もちろん人によって知識やスキルというものに差はあります。その人がいなくなればこれまでのような生産効率は達成できないかもしれないし、今まで使っていたシステムも使えなくなるかもしれない。
だけど――誤解を恐れずに言えば――たったそれだけのことなのです。
一度落ち込んだ生産効率を上げるために新しいやり方を工夫して見つければ良いし、また別の新しい(より良い)システムを探してきて導入すれば良い。
そういう前提で、従業員の皆さんには「自分にだけしかできない仕事」を作るのに精を出すのではなく、「組織の中で自分がなすべき仕事」を追求してもらうよう働きかけてみてはいかがでしょうか。
兵庫支店長 増尾 倫能