人事の世界で最近よく聞く言葉といえば、「ジョブ型」「1on1」に続いて「エンゲージメント」がありますが、皆さまも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。エンゲージと聞くとなんとなく結婚のイメージがあり、私も5年ほど前に初めて聞いたときには、人事部主導の社内結婚政策か何かのことかと勘違いしていました…

 エンゲージメントとは、一言で言うと「つながり」です。労働者が組織の掲げるビジョンに共感し、労働者自らが意欲的に仕事に取り組み、仲間や会社に深く思い入れをもって、個人と組織が一体となって、双方の成長に貢献しあう関係とも言えますね。本質的には、やはり結婚に近いものなのかもしれませんね。

 ここにきてエンゲージメントが必要とされているのは、日本では労働人口が減少しており、あるいは採用できてもすぐに辞めてしまうといった会社側の危機感と、待遇等ではない幸せの本質を求めだした労働者側の思惑が一致しだしたというところでしょうか。これからは全ての企業が多かれ少なかれエンゲージメントカンパニーへ向かわざるを得ない状況になっていくと思われます。

 この流れを受けて、ここぞとばかりにオフィスのラウンジをおしゃれにしたり、あるいは卓球台を置いたりと表面的な施策ばかりマネしている企業もありますが、全くの本末転倒です。エンゲージメントは、モチベーションや社員満足とは根本的に違います。これらは福利厚生・労働環境・待遇等、単に居心地が良く満足度の高い環境を作ろうとしているだけで、そこに会社と労働者のつながりはありません。会社の居心地が良ければ仕事も楽しくなる・パフォーマンスが上がるというのは大きな勘違いで、労働者にとっての満足は、結局は仕事からしか得られません。

 会社側が一方通行で労働者側に労働対価を支払い、労働者側は報酬を上げることだけを目標に頑張るような時代は、とうに終焉しています。会社の目標と個人の目標がコミットしていて、関わる人すべてが幸せになる、そんな組織を目指さなければいけませんね。

 キーワードは、数年前ですが流行語大賞にも選ばれたラグビー日本代表の「ONE TEAM」。脳科学の研究によると、「温かみのある、心を1つにできる人間関係を持ち続ける」ことが幸せになるための一大要素だということです。そんなつながりを、自社はもちろんのこと、顧問先にも増やしていきたい。そんな思いに溢れる今日この頃です。

 

大阪支店長 𠮷村 徳男