企業が経営戦略を考えるにあたって、大きく分類すると以下の3つになると考えます。
 
   ・経営者層が考える
   ・幹部層が考えて経営者層と詰める
   ・一般従業員層が考えて幹部層・経営者層と詰める
 
 この3つのうちの「経営者層が考え、全従業員に指示する」方法がトップダウン型となります。中小企業ではこの手法が少なくないと考えます。トップダウン型も立派な手法であり、従業員には無い「経営者の経験」だったり、さらには「勘」、これらに基づいて経営を動かしていくというのはトップダウン型の一つの魅力ではないでしょうか。
 
 トップダウン型の手法で従業員皆が一丸となって頑張れるかどうかは「従業員が理解・納得できるだけの材料が出ているか否か」が重要になってきます。一昔前でしたら経営者の鶴の一声で右を向いたり左を向いたりすることも多々あったと思います。高度経済成長期であれば、それでも十分な経営成果が出せたとも思います。
 
 しかしながら現代では難しいのが現実ではないでしょうか。従業員が理解・納得できる材料を示すことができれば問題ないでしょうが、そうでなかった場合には、従業員の働きぶり=生産性が低下することに繋がりかねません。これは従業員が理解・納得できていない=何を頑張ればいいのかが不透明となり仕事への頑張りが低下するもので、こうした場合には理解・納得してもらうための意見交流の場が必要となってきます。
 
 こうした意見交流の場があれば生産性は上昇するでしょう。意見交流できる場がある、ということも現代のトップダウン型の一つの特徴であり魅力です。ですが、意見交流の場が無い場合はどうでしょうか。不平不満が募り、いい仕事をしなくなり、間違いなく生産性は下がります。と同時に、売上・利益にも直結します。
 
 つい先日、同席させてもらった経営会議の場でこうしたトップダウン型を目にする機会がありました。目にして残念だったことは意見交流の場がありながらも経営者層が一向にして聞く耳を持たれていなかったこと。それでいて矛盾する説明も垣間見えたこと。「もう決めたことだから」の一点張りのお声を耳にすると、不平不満を助長するだけで何の解決にも繋がりません。
 
 何が正解で何が不正解か、これは成果が出ないと判断できないことではありますが、そこに至るまでのプロセスも大変重要で、伝え方・聞き方、今の時代のトップダウン型はここまで求められている時代になったと痛感しております。

 

福岡支店長 木村 和人