2019年度の実施を最後に大学入試センター試験が廃止され、2020年度から大学入学共通テストへ移行することとなり、今年度が最後のセンター試験になります。だいぶ昔のことになりますがセンター試験当日、大雪のなか試験会場へ向かったことが思い出されます。

 三人の子を持つ親としては今回の大学入学共通テストへの移行に関する報道などに自然と関心が向いてしまうのですが、移行されるに至る背景として、先行きが予想しづらいこれからの社会において、知識の量だけでなく自ら問題を発見し答えや新しい価値を生み出す力が必要になってくると考えられており、今回の変更で終わりではなく、検証を重ねながら数年かけて変革していくようです。

 今回の移行に伴う大きな変更点としては、記述式の問題を導入することで、知識に基づいた思考力や判断力、表現力などを評価するということが狙いのようです。これは単に試験の内容が変わったということではなく、学力の概念が変わったと言えます。今までは知識の量をいかに増やせるかというインプットが重要視されていたので、過去問に熱心に取り組んでいたのではないでしょうか。しかし、これからはアウトプットが重要視されるため、自ら課題を見つけ、解決までのプロセスを考案し、それを表現する力が問われることになります。

 ビジネスの世界で求められるのは常にアウトプットですから、このように学力の概念が変わるということは当然の流れと考えられます。しかし、これはもう学力というものを飛び越え、主体性や創造性、豊かな人間性といったものが必要なのではないかと感じます。言われたことは正確に効率よくこなすが、自ら企画し実行に移す力がないということで、高学歴の人が社会に出ても活躍できないという話しはよく聞きます。 

 言われたことを正確に効率良く処理することも仕事では必要ですが、そこにばかりエネルギーをかけすぎると、もっと大事なものが育たなくなるということを頭にいれて、従業員の教育や評価をしていきたいものです。

 

東京支店長 白倉 玄