今年もいよいよプロ野球が開幕しました。これから秋まで贔屓のチームの勝敗に一喜一憂する日が続くという方も多いでしょう。
 
 さて、興味のない方にはまったくピンとこないお話だと思いますが、日本のプロ野球の年間試合数はどれぐらいだと思われますか?クライマックスシリーズや日本シリーズの所謂「プレーオフ」を省いたレギュラーシーズンの試合数は143試合。これがアメリカのメジャーリーグに目を向けると年間試合数は162試合に及ぶようです。シーズン中はほとんど毎日試合をしている、そんな感覚でしょうか。
 
 ここで他のプロスポーツに目を向けてみることにしましょう。アメリカの三大プロスポーツと呼ばれるNBA(バスケットボール)やNFL(アメリカンフットボール)はどうでしょうか。
NBAのレギュラーシーズンは82試合。メジャーリーグの約半分です。そしてNFLはというと、レギュラーシーズンはなんと16試合。メジャーリーグの10分の1しか試合をしないのです。
 
 これだけの違いはいったいどこから生まれるのでしょうか。
 
 それぞれのリーグのチーム数を見てみると、メジャーリーグとNBAはいずれも30チーム、NFLも32チームと、それほど変わりませんので、チーム数が多いから試合数が増えるというわけでもなさそうです。
一方、野球、バスケットボール、アメリカンフットボールという競技内容そのものは試合数に影響しているかもしれませんね。ごく乱暴に言えば、選手たちの接触が多い(あるいは激しい)スポーツほど、試合と試合の間隔を十分にあけて休養や準備に充てる、そんな傾向があるように思います。
 
 しかし、忘れてはならないのは、メジャーリーグも、NBAもNFLも「プロスポーツである以上、ビジネスとして成立させなければならない」ということです。
ファンにチケットを買ってもらって試合を観に来てもらい、グッズを販売し、テレビ中継の放送権料やスポンサー収入を得て、選手やスタッフに給料を払わなければいけません。単純に考えると、試合数は多ければ多いほど売り上げは増えるように思えますが、試合数が極めて少ないNFLのチームでもやっていけるのはなぜでしょうか。
 
 それは、アメリカンフットボールというスポーツの人気が高いことはもちろんのことながら、戦力や資金力が特定のチームに偏らないよう、様々な戦力均衡のための制度が導入されていることや、テレビ放映権や入場料、グッズのロイヤリティ収入やスポンサー収入に至るまでリーグが統一して管理して各チームに配分する仕組みが整っており、特定のチームだけが強くて儲かる、ということがないような工夫が随所に張り巡らされているからだと言われています。リーグがチームを上手くマネジメント出来ている好例です。
 
 経営者の皆さんも日々いろいろな場面でいろいろな「マネジメント」を行うことでしょう。同じ業界だけでなく、プロスポーツ・リーグ等の他の世界に目を向けてみると、新たな気づきや発見があるかもしれません。
 
 そんなことを考えながら、今年もまた、黒と白のタテジマの某球団を(懲りもせず)応援したいと思います。
 

兵庫支店長 増尾 倫能