動物園の人気動物ランキングをご存知でしょうか。様々なデータがありますが、だいたい上位にくるのは、パンダ・ゾウ・キリン・ライオン・ホッキョクグマといったところです。もちろんこれらの動物には魅力がありますが、私は特に「ナマケモノ」に見入ってしまいます。彼らをよく見てみると、本当に愛らしい顔をしています。また、文字通りの怠け者ぶりに、こんな風に生きていけたら・・・なんて思ったことはしばしば。それはさておき、彼らを見ていると「よく絶滅せずに生き延びてこられたものだ」という称賛の念を抱かずにはいられません。
 

 自然界では、敵に負けない強さ、敵から逃げる速さ、敵を出し抜く知能等、何かしらの特技がないと生き延びることはできませんが、ナマケモノは何一つ持ち合わせていないように思います。長い爪をもっているものの戦おうとはせず、通常の歩行速度は時速16m程度・・・天敵に見つかった瞬間にアウトです(厳密には、トップギアは時速160mだそうです)。彼らもそれを心得ていて、天敵に見つかれば早々にあきらめて、「いっそひと思いにお願いします」と言わんばかりに抵抗せず全身の力を抜くのだとか。他にも、食べたものの消化に2週間以上かかるため、時としてお腹いっぱいなのに餓死するという謎の症状を起こしたりします(お腹いっぱいと言っても、食事は1日に葉っぱ5~6枚ですが)。こんな彼らが、絶滅せず生き延びていることは、すごいことだと思いませんか?
 

 ナマケモノの生態を知れば知るほど、「省エネ」という言葉がしっくりきます。もともとナマケモノの祖先は5m超の大型動物で、地上をテリトリーとして他種としのぎを削っていたようですが、長い年月を経て、木を住みかとする小型動物に進化(退化?)し、この言わば「省エネ」戦略で生存競争を勝ち抜いてきました。比べることではありませんが、鋭い牙をもつ強者のマンモスやサーベルタイガーが絶滅したことを考えると、ナマケモノは「怠け者」なんかではなく、立派に「生き抜く」という結果を出しているので、言わば勝ち組です。見た目からは想像もつきませんが。
 

 事業運営は、経営理念追及のために「生き残ること」が求められます。通常はそのために営業部門を強化したり新製品を開発したりとするのですが、ナマケモノの生き様を見せつけられてしまうと、それが絶対解ではないということを改めて認識させられます。強みを磨く努力を怠るつもりはありませんが、それと同時に「最適な状態に変化する」ことを常に忘れずに、事業運営を続けて参ります。

 

大阪支店長 吉村 徳男