今年の6月にスイスの民間研究機関が発表した「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は146か国のうち118位でした。昨年の125位より順位を上げたものの先進7か国(G7)では最下位であり、ジェンダー格差は依然として日本の大きな課題といえます。この指数は、経済活動への参加と機会、教育の到達度、健康と生存率、政治への参画という四つの分野で測定されており、日本は教育と健康の分野では平等に近いと評価されていますが、政治と経済の分野では大きく遅れをとっています。

 

 2023年に「女性活躍推進法」の改正により大企業に対して女性の管理職比率を一定以上に引き上げる目標を設定し、企業がその達成状況を報告することを義務付けています。これにより、企業内でのジェンダー格差是正が進むことが期待されていますが、実際にどの程度の効果があるかは今後注視していく必要があります。

 

 日本の文化において、ジェンダー格差の背景には伝統的な性別役割分担の意識が根強く存在しています。例えば、「男は仕事、女は家庭」という価値観が長らく社会に浸透しており、これが女性の社会進出を妨げる一因となっています。また、日本の企業文化には年功序列や終身雇用といった制度が根付いており、これらが柔軟な働き方や多様なキャリアパスの形成を阻害している要因とも考えられています。

 

 企業におけるジェンダー格差の解消には多面的なアプローチが必要になり、採用や昇進において透明性を高め、公平な評価基準を設けることが求められます。さらに、企業文化の変革も重要です。例えば、柔軟な働き方を推進し、育児や介護と仕事を両立できる環境を整えることで、女性だけでなくすべての従業員が能力を発揮しやすくなるのではないでしょうか。

 

 しかし、企業だけの努力では限界があるため、教育の場でも小学校から大学までの教育課程でジェンダー平等に関する教育を取り入れ、次世代に向けてジェンダーに対する意識を変えていくなどの取り組みも必要です。こうした取り組みにより、将来的にはジェンダー格差が解消され、多様性が尊重される社会が実現することが期待されます。

 

 このように、ジェンダー格差の解消は一朝一夕で達成できるものではありませんが、政府、企業、教育機関、そして個人が協力して取り組まないと、より平等で持続可能な社会を築くことはできないと自分事として捉え、自分にできることから取り組んでいこうと思う今日この頃です。

 

東京オフィス所長 白倉 玄