「健康の維持のためには、1日30品目の摂取を」こんな言葉を聞いたことはないでしょうか。いま流行りのスムージー等に記載されていたりしますし、今でも意識して取り組まれている方もいらっしゃるかもしれません。私も過去に、その日の食事を振り返りながら「ラーメンのネギは1品目としてカウントして大丈夫か?」等々、必死に指を折ってその日に摂取した品目数を数えたことがありました。
 
 この「30品目」は、1985年に当時の厚生省(現厚生労働省)が提唱した「健康づくりのための食生活指針」で示され、そこから拡がっていきました。が、実はこれ、18年前の2000年には既に「30品目」という数字は削除されました。その理由は、「30品目」という数字のみが独り歩きしてしまい、一部の栄養素に偏った食事によって健康を損なう人が散見されたからとのことです。
 
 そもそも、当初「30品目」と言われたのは、必要な栄養素の摂取のためというよりは、偏った栄養バランスによる弊害を防ごうという趣旨でした。例えば、レモンはビタミンCだけでできているわけではなく、牛乳もカルシウムだけでできているわけではありません。他の様々な成分も含み、食材によっては当然毒素も含んでいます。ですから、多数の食材を摂取することにより相互作用を高め、それぞれの食材の負の部分を中和して無効化する意味合いの方が強かったのです。いわゆる、「食べ合わせ」ですね。
 
 この考え方は、組織運営でも同じことが言えます。組織の中には様々な人間がいて、誰しも長所・短所がありますが、組織の役割は、まず人の弱みを無効化することにあります。そのためには、組織を俯瞰して人材のバランスを整えなくてはいけません。個人を育てる上では、短所是正より長所を伸ばすことを優先させるべきでしょうが、組織全体で考えると、弱点は早急に無効化しなければ市場から淘汰されてしまいます。
 
 そういう意味で、手前味噌ですが当法人には人材が揃っています。何かとアクの強い人間も多いかもしれませんが(笑)、それぞれの弱みを相互作用によって無効化し、強みを最大限に活かすべく、さらに人材を集めています。そして、もっと社員間の相互作用を活性化して、組織を強化していきたいと考えています。

 

大阪支店長 吉村 徳男