例えば、何かのアンケートで性別を選ぶ欄があったとしましょう。従来であれば「男」「女」の2択しかなかったものですが、最近ではそこに「その他」や「回答しない」という選択肢が加わってきているようです。
選択肢が増えている背景にはLGBT等の性的マイノリティへの配慮があります。日本でもここ数年で一気にLGBTに対する理解が進んできており、様々な場面で「これまでにはなかった」選択肢があり得るのだという考え方が進んでいる証拠ですね。もちろん、広く一般的に理解されている状況というには程遠いですが、それでも急激に世の中が動いてきているという確かな実感があります。
さて、事業経営や労務管理を考えるときに多様性やダイバーシティというキーワードが最近注目されてきています。先に挙げたような性的マイノリティだけではなく、性別や年齢や国籍等、多様な人材を活用しようというものです。
近年、「新しい価値観は多様性のある環境で生まれる」や「同じようなタイプの人々の中からは創造性に富んだアイデアは生まれない」という考え方が注目されつつあり、会社のさらなる発展のために「意図的に」多様な人材を採用していきましょうということなのですが、実は「意図せずに」多様性が増している職場も増えているのです。
例えばこの大人材採用難時代、これまでと同じやり方ではなかなか想定している求職者に巡り合わず、苦労して採用活動を行う中で今までとは違う年齢層やあるいは外国人の方を採用することとなる――まさに多様性に繋がります。
これまで社内に居なかった属性の労働者が増えるということを、「今までにいないタイプだから苦労するなあ」ではなく、是非「多様性が増して新しい価値観が生まれるチャンスだぞ」と肯定的に捉えてみませんか。きっとそこには今まで気づかなかった発見があるはずです。
兵庫支店長 増尾 倫能