Q.来年、年末調整の電子化を考えているが、どんな準備をしていけば良いですか?
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A. 
【1】従業員への周知
従業員から年末調整申告書を電子データにより提供を受けるにあたって、法令上は同意を得る必要はありません。しかし、電子化にあたっては、従業員自身が控除証明書等のデータを取得する必要があるため、早めの周知が必要です。社内で電子化が決定したら、まずはマイナンバーカードの取得を推進していくとよいでしょう。マイナポータル連携を利用することで保険会社や銀行等から複数の控除証明書を一括取得することができ、従業員の利便性が高まるからです。
 
【2】税務署への届出
従業員から年末調整申告書に記載すべき事項を電子データで提供を受けるためには、あらかじめ所轄税務署に「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出し、その承認を受けておく必要があります。
 
【3】給与システムの改修
従業員から提供を受ける年末調整申告書データや控除証明書データを給与システムにインポートするためのシステムの改修等を行う必要があります。
 
 
これまで書面で提出されていた生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅ローン控除に係る年末調整関係書類について、令和2年分の年末調整から、勤務先への電子提出が可能となりました。
 ■電子提出の対象となる年末調整関係書類
 生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、住宅ローン控除証明書、
 住宅ローンの年末残高証明書
 
電子化が今一つ進まなかった年末調整も証明書を含め基本的にオンラインで完結できるようになることで、いよいよ本格的に電子化が加速することは間違いないでしょう。
 
令和2年からは申告書がさらに複雑化するため、PCやスマホで手順に沿って入力していく方が従業員にとっても簡単であり、会社にとっては書面を確認や検算・保管する事務負担が軽減します。
 
国税庁が年末調整控除申告書作成用のソフトを無償で提供予定など、政府も電子化への取り組みを進めていますが、ハードルとなるのは、従業員が電子データで提出をしてくれるかということです。電子化を行う場合は、早めの事前周知で説明を行い、マイナポータルへの連携を準備していくと良いでしょう。
 
※参考:年末調整手続の電子化概要図(国税庁)
http://www.nta.go.jp/users/gensen/nenmatsu/pdf/nencho_gaiyo.pdf
 
※参考:年末調整控申告書作成ソフト
・令和2年10月導入予定
・パソコン版(Windows版・Mac版)とスマートフォン版(Android版・iOS版)
・作成可能な書類
 ①保険料控除申告書 ②住宅借入金等特別控除申告書 ③扶養控除等申告書
 ④配偶者控除等申告書 ⑤基礎控除申告書及び所得金額調整控除申告書