令和時代の幕開けに合わせるかのように労基法関連の法改正ラッシュが始まりました。今年の4月から適用となる主な法改正は、時間外労働の上限規制(大企業は昨年から)や同一労働同一賃金(労働者派遣法)でしょうか。
加えて、すでに施行されている有休5日取得義務の1年目(第1回目)の取得状況の確認作業にこれから着手される企業も多いのではないでしょうか。さらにはパートタイム・有期雇用労働法改正(同一労働同一賃金)も来年4月に控えていることを考えると、もはや一企業単位でその責務を果たさねばならないことが酷にさえ思えてなりません。
それでも国内で事業を営む以上、これらの法改正を軽視するわけにはいきません。これまでもそうであったように、軌道に乗ってしまえば認識も運用も特別なものから当たり前のものに変わっていくことと思われますが、これまでと決定的に違うのは、「事業運営に直結する」改正が短期間で一気に押し寄せてしまったことです。
これまで一つずつ潰していけば何とかなったものが、そうはいかない状況になったと言えます。つまり、有休取得義務ひとつ取ってみても、単に有休を取得させることだけ(の施策)に注力するわけにはいかない、ということです。
休日数を減らすことは原則難しいでしょう。皆が有休を取得することで年間総労働時間は短くなります。その中で時間外労働の上限規制を守りながら事業の継続に必要な利益を確保していかなければなりません。利益が総労働時間に比例している業種はこれだけで死活問題です。
一方で、利益確保のために経費削減策を講じる必要もあります。当然人件費もこの中に含まれるでしょうが、同一労働同一賃金で禁止される不利益取り扱いを無視するわけにはいかず、また、社会保険の適用拡大や高齢者雇用確保年齢の引き上げも近い将来間違いなく行なわれることも視野に入れなければなりません。
めまぐるしく変化する現代において、変化し続ける企業だけが生き残ると言われています。法改正への対応も例外ではなく、将来を見据えた業務の改善、売上構造の再構築、適正人員の配置を踏まえた採用活動の在り方、さらには経営方針の再考など、根幹から抜本的に見直さなければならない時が来たと言っても過言ではないでしょう。
私自身、そういう時代になったということを肝に銘じて今後のコンサル活動を行なっていく所存です。
福岡支店長 城戸 康行