社会人になりたての頃、当時の上司から「当たり前のことを当たり前にやりなさい」とよく言われたものです。とにかく怒られないよう仕事を覚えることに必死で、深い意味など考えていなかった気がします。あれから数十年、それなりに成長してきたつもりですが、やはり今でも出来ていないと思うときがあります。
当たり前のことを当たり前にやるって実はかなり難しいですよね。
そもそも何にとっての当たり前なのか。自分、相手、社会。「当たり前」は何を軸に考えるかで捉え方も違うし難易度も変わってきます。私が感じる当たり前と他人が感じるそれは違うことも当然考えられるわけで、人からこの価値観の違いを指摘されたり、もしくは強要されたりすると、かなりのストレスを感じるでしょう。
しかしながら、ビジネスシーンでの当たり前は明確にする必要があります。ここでいう当たり前は挨拶や身だしなみの話ではなく、共通の目標や目的に向かう過程でのルールのことです。
企業は目的達成のために戦略を立て、戦術を練り、組織を動かします。このプロセスの中で当たり前を作っていかなければなりません。それは皆が生き生きと仕事を行うため、また顧客により良いサービスを提供するために企業が従業員に求める「当たり前」です。
言い換えるなら全体の共通認識と言えるかもしれませんが、ただ認識させるのではなく、本当に大事なのは方向性とその理念を具体的に示し、理解してもらうことだと思います。この設定を誤ると労使間に溝が生まれ、お互いの不平不満に繋がり、その結果十分なパフォーマンスが発揮されないことになるでしょう。
教育やコミュニケーションが大事なことは大前提ですが、仕事の内容を教え込むこと、またビジネスマナーを叩き込むことだけでなく、いかにして自社の当たり前を共感させられるかも重要な課題だと考えています。
福岡支店長 城戸 康行