先日、厚生労働省は「令和4年度地方労働行政運営方針」(以下、「運営方針」という)を策定し、その内容を公表しました。各都道府県労働局は、この運営方針を踏まえつつ、各局の管内事情に則した重点課題・対応方針などを盛り込んだ行政運営方針を策定し、計画的に運営していくことになります。労働局を中心に、この運営方針に沿ったセミナーが開催されたり、周知や調査の活動が実施されたりすることも多くあることから、この運営方針の中から、主な施策の項目を見ておきましょう。

 

[1]雇用維持・労働移動等に向けた支援やデジタル化への対応
 〇雇用の維持・在籍型出向の取組への支援

  • 雇用調整助成金等による雇用維持の取組への支援
  • 産業雇用安定助成金等による在籍型出向の取組への支援

 〇デジタル化の推進

  • デジタル分野における新たなスキルの習得による円滑な再就職支援
  • ハローワークの職業紹介業務のオンライン・デジタル化の推進

 

[2]多様な人材の活躍促進
 〇女性活躍・男性の育児休業取得等の促進

  • 男性が育児休業を取得しやすい環境の整備に向けた企業の取組支援
  • 女性活躍推進のための行動計画に基づく企業の取組支援
  • 不妊治療と仕事との両立支援

 〇非正規雇用労働者等へのマッチングやステップアップ支援

  • ハローワークの就職支援ナビゲーターによる求職者の状況に応じたきめ細かな担当者制支援
  • 同一労働同一賃金など雇用形態に関わらない公正な待遇の確保等

 〇高齢者の就労・社会参加の促進

  • 70歳までの就業機会確保等に向けた環境整備や高年齢労働者の処遇改善を行う企業への支援
  • ハローワークにおける生涯現役支援窓口などのマッチング支援

 

[3]誰もが働きやすい職場づくり
 〇柔軟な働き方がしやすい環境整備

  • 良質なテレワークの導入・定着促進
  • フリーランスと発注者との契約のトラブル等に関する関係省庁と連携した相談支援
  • 副業・兼業を行う労働者の健康確保に取り組む企業等への支援等
  • ワーク・ライフ・バランスを促進する休暇制度・就業形態の導入支援による多様な働き方の普及・促進

 〇安全で健康に働くことができる環境づくり

  • 職場における感染防止対策等の推進
  • 長時間労働の抑制
  • 労働条件の確保・改善対策
  • 総合的なハラスメント対策の推進

 

様々な運営方針が示される中、「総合的なハラスメント対策の推進」については、4月より中小企業についてもパワーハラスメント防止措置が義務付けられたことが背景にあります。パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント等の職場におけるハラスメント防止措置を講じていない事業主に対し厳正な指導を実施すること等により、法の履行確保を図っていく旨の方針が示されています。パワーハラスメント防止措置の対応が未だの場合は、早急に対応しましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「「令和4年度地方労働行政運営方針」の策定について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25074.html
厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。