企業が実施すべき主な健康診断には、雇入れ時の健康診断と定期健康診断があります。そのほかに深夜業などの特定の業務に常時従事する従業員(以下、「特定業務従事者」という)に対する健康診断があり、配置替えの際と6ヶ月に1回、実施する必要があります。以下では、この特定業務従事者の健康診断をとり上げます。
[1]特定業務従事者とは
特定業務従事者の健康診断の対象となる人は、例えば多量の高熱物体を取り扱う業務および著しく暑熱な場所における業務や、深夜業を含む業務などに従事する人で、労働安全衛生規則に定められています。このうち深夜業を含む業務は、常態として深夜業(午後10時から午前5時まで)を1週間1回以上または1ヶ月に4回以上行う業務と通達されています。工場で交替制勤務により深夜業を行っているような場合が該当しますが、これ以外にも、所定労働時間の一部が午後10時から午前5時までの時間帯に重なる場合も該当します。
[2]パートタイマーの健康診断
短時間労働者(いわゆるパートタイマー)についても、以下の1と2の両方を満たす場合は、雇入れ時の健康診断と定期健康診断を実施する必要があります。
- 期間の定めのない労働契約により使用される人であること(※)。
- 1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。
※期間の定めのある労働契約により使用されるパートタイマーの場合は、契約期間が1年以上である場合や契約更新により1年以上使用されることが予定されている場合、および1年以上引き続き使用されている場合(特定業務従事者健診の対象となる人については、1年以上を6ヶ月以上に読み替え)。
[3]パートタイマーが特定業務従事者に該当する場合
2.については、あくまでも雇入れ時の健康診断と定期健康診断について指しているものです。[2]の1および2に該当しないパートタイマーが特定業務に常時従事するときには、雇入れ時の健康診断や定期健康診断の実施が不要な場合であっても、特定業務従事者の健康診断を実施しなければなりません。
対象となる従業員の範囲は、誤りやすいため、留意しましょう。
■参考リンク
厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000103900.pdf
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。