ゴールデンウイークも終わり、一気に現実に引き戻された人も多いのではないでしょうか。五月病という言葉が生まれたのは今から60年以上前のことですが、特に新社会人の皆さんやこれまでとは違う環境に身を置くようになった方は特に注意が必要ですね。あまりストレスを溜め込まないように心掛けたいものです。

 

 さて、前回のコラムを執筆したのは3月20日。その中でも触れましたが、WBC史上最高の試合となったメキシコ戦の前日でした。その2日後、アメリカを破って見事3大会ぶりの優勝を果たしたわけですが、侍ジャパンを率いた栗山監督の評価が一気に上がりましたね。

 

 毎年恒例となっている生命保険会社大手の明治安田生命による「理想の上司アンケート」でも過去に男性編で16位にランクインした経験のある同氏。毎年2月頃に行われるアンケートなので次回はもっと上位にランクインされそうです。また、かつて企業における講演の人気講師と言えば、1に野村克也氏、2に星野仙一氏と言われたものですが、両雄亡き今、栗山氏がトップに躍り出そうな勢いです。

 

 昨今、リーダー像を語る書籍は山ほどあります。日々迷走している私としてはいろいろとお知恵を借りたいと購読することも多いのですが、「部下は宝 家族のように扱いなさい 叱ってはダメ 褒めなさい」というものから、「好かれたら終わり マネジメントに感情は一切不要 とにかくルールを遵守させなさい」と真逆のものまで、なかなかのバラエティーに富んだ内容となっています。

 

 そんな読む者を惑わせるリーダー像にまつわる書籍たちですが、執筆者の中には名だたる人物も多く、当然ながら素晴らしい功績の持ち主と言えます。それでもこれだけ真逆の思想というか、リーダーとしての振る舞いの定義が異なっているということは、それだけマネジメントが奥深く一筋縄ではいかないものであり、関わる人や組織によって、もっと言えば双方の歩んできた人生から形成された人格が大きく影響するものと推測できます。言わば万人に共通の手法など存在しないということでしょう。

 

 そんな悟りを開いたところで課題が解決されるはずもなく、自身の役割を全うするためには前に進むしかないのですが、まずは今の自分の思いに近しい考えを持った人の意見を取り入れることが手っ取り早いですね。まずはやってみる。これが一番ですが、多分このやり方だと現状を大きくは変えられないでしょう。思い切って自身のスタンスとは真逆の方法を取り入れることで新たな気づきが生まれ、思ってもみなかった成果が上がる可能性だってあり得ます。

 

 さすがにアレルギー反応がひどすぎるものは抵抗があるでしょう。必ずしもうまくいく保証もありません。しかし、現状を打破するには今までの考え方を一旦ゼロベースに戻す必要があるのかもしれません。一朝一夕で成果が出るものではないため、トライ&エラーを繰り返す覚悟を持たねばなりませんね。

 

福岡支店長 城戸 康行