連日うだるような厳しい暑さが続いていますが、今年も夏の甲子園出場校が出そろいました。今やネット配信の恩恵により、いつでも好きな都道府県の地方大会が無料で視聴可能とあって高校野球ファンにはたまらないサービスです。

 

 それにしても、一昔前に比べると髪を伸ばした球児が増えましたね。まあ坊主である必要は1ミリもないのですが。それはさて置き、練習内容や指導方法も現代にマッチしたものにシフトしていっているようで、私が少年野球に汗を流していた数十年前とは随分様変わりしました。当時はロボット製造工場のごとく皆が一律の指導を受け、気付けば1番から9番まですべてのバッターが同じフォームで打席に立っているという、今では異様な光景ですが当時はそれが当たり前でした。主体性は軽視され、監督やコーチの指導や理想を忠実に体現する選手こそが認められレギュラーになっていたような気がします。もちろん一部の抜きんでた才能の持ち主を除いてですが。

 

 主体性と言えば、10歳以下を対象とした異色の子ども向けサッカー大会、「4v4 U10」の選手エントリーが7月15日にスタートしました。この大会は従来のサッカーの常識をゼロから覆すようなルールで、日本サッカーの将来を見据え、元日本代表MFの本田圭佑氏がルールを考案したものです。

 

 大会の名称からも分かるように、通常1チーム11人、11対11で行われるサッカーを、小さなピッチで4対4で行います。10分1本勝負、交代も自由。また、ショットクロック(攻撃側のチームがシュートをしなければならない制限時間のこと)は20秒で、ゴールキーパーはフィールドプレイヤーとして果敢に攻撃に参加することができるという全く新しいサッカーのルールとなっています。本大会では子どもたちの主体性を大切にするために、ベンチには監督やコーチは存在せず、戦術や交代などを選手自ら考えながら、仲間と切磋琢磨することで勝利を目指す。そんな仕組みになっています。

 

 さて、昨夏より小学生の柔道の全国大会が廃止されました。大会を主催してきた全日本柔道連盟は、理由として「心身の発達途上にあり、事理弁別の能力が十分でない小学生が勝利至上主義に陥ることは好ましくないものと考える」と挙げています。これには多方面から賛否両論上がりましたが、一方で「4v4 U10」の最終目標は全国優勝です。全国優勝を目指す以上、勝利至上主義の問題は付きまといますが、優勝を目指すプロセスに大きな違いがあるように思えます。名言は避けますが、勝利を目指すこと自体に年齢は関係なく、要は大人の都合が問題を根深いものにしているにすぎません。

 

 サッカーを通じて自ら考え、決定し、行動することを幼少期から経験させたい、そして将来の有望株を育てたい、本田氏にはそんな思いがあるのでしょう。これは少年スポーツのみならず、企業人に求められるスキルとしてとても重要なものです。高校を卒業したから、大学を卒業したから、はい今からは自分で考えて行動しなさいというのはかなりハードル高めです。幼少期のころからそういう訓練が必要ですね。

 

 先日、小学生の次男が夏休みの難敵・自由研究の資料を前に思考停止していました。まさにこういうことですね。親として代わりにやってあげるのではなく、子供の将来を考えて上手に導いてあげなければと思う今日この頃です。

 

福岡支店長 城戸 康行