私は左利きです。

 

 幼い頃に親から矯正を受けたので、「書くこと」と「食べること」は右手ですが、矯正を受けたもの以外は基本的には左を使用します。お札を数えるのも左手ですし、咄嗟に前にでる手も左です。

 

 足も左足中心です。たとえば、サッカーについては、よく家の前で経験者である父親とボールを蹴り合っていましたが、左の方が有利と感じるというより日常に支障をきたすことがないということで、矯正されることもなく、本能のままにずっと左足で練習していました。ただ、少し変わっていたのが、親から教わっていないスポーツにおける道具の使用方法です。

 

 野球のバットを振るのは右です。周りの同級生が右バッターばかりだったので、自然とそのやり方を真似ていた気がします。ですので、野球では圧倒的に珍しい、左投げ右打ちになっていました。その流れを踏んで、テニスや卓球についても右手でラケットを持ちます。左手でも打てないことはないですが、やはり違和感を覚えます。

 

 というように、私の日常生活において、どちらか偏ってというのではなく、右と左が交差しているわけです。

 

 どうも調べてみると、用途によって利き手が変わる人もいており、クロスドミナンス(交差利き)と呼ばれていることが分かりました。なぜそのようなことが起こるのかというと、「左利きだったが矯正されて右利き要素が混ざったこと」や「周りの環境の影響でいつの間にか混ざった」というのが理由に当たるようです。まさに私のことです。そう考えてみると、私もずっと左利きと思っていましたが、クロスドミナンスなのかもしれません。そういえば、歯ブラシを持つのもスマホを見るのも右手ですし…

 

 現代社会において、日常生活のすべてといっても過言ではないかと思いますが、右利き用に設計されています。公共の場で探してみると、エレベーターのボタン、自動販売機の硬貨投入口、自動改札はすべて右側です。モノでいうと、カメラのシャッターボタンが右側に付いているので、幼い頃押すのが苦手だった方も多いかと思います。

 

 統計において、日本の全人口のおよそ10%が左利きですが、先に述べた状況である以上、大半の左利きは自然な流れでクロスドミナンスとなり、完全なる左利きは少ないのかもしれません。とはいえ、右利きへの矯正率は昔と比べても下がってきていると思いますし、食品のCMにおいても芸能人が左手で箸を持って食事する場面が数多く流れるなど、左利きを見る機会は増えていくでしょう。

 

 実は、私の息子も左利きです。生まれてからこの方、一切矯正はさせていません。すでに日常生活で苦労している場面をよく見かけますが、周りと少し違うということから得るものも数多くありますので、ぜひ気づき力を高めていってもらいたいと考えています。

 

 なお、クロスドミナンスは右脳と左脳のバランスがとれると言われているようです。私自身は、そのように捉えたことはなかったですが、左右両方の脳が発達して覚醒させることができると、脳の引き出しが増えることに繋がりますので、どこかのタイミングから敢えてトレーニングとして教えていきたいと思います。

 

大阪支店長 東 武志