「貯蓄から投資へ」という言葉。国民の資産所得倍増を目的とする政府のスローガンです。
歴代政権も同様のスローガンを掲げていましたが、現在の岸田政権ではその言葉を体現できるように資産所得倍増計画に取り組んでいます。
その柱の一つが、新しいNISAの導入です。
ちなみにみなさんはこれまでNISAを利用したことがありますか?
2014年からスタートしたNISAですが、私も年間の非課税投資枠をすべて使い切るというところまではいかなかったのですが、状況によっては購入した株式を売却して資金を戻したりと、何かと少しずつ毎年のように利用してきました。私は株式の配当金から得られる収益、いわゆるインカムゲインを目的とした投資で、株式の保有期間が自然と長くなるということもあり、この制度の利用はある意味必須のものでした。
そのNISAが来年以降、5年という非課税保有期間が撤廃されて無期限化となり、その非課税投資枠が拡充されるというのが新しいNISAの主なポイントです。これまでにも「そうなってくれたらいいのに」とずっと思っていたため、今回の改正は私にとってはより長期的な視点で株式投資に向き合えるものとなり、投資をしない人にとっても新たに始めるための絶好の機会になるはずです。
私は株式投資というものは資産所得を増やすという根本的な目的以外にも、経済情勢を知るための手っ取り早い手段の一つだと捉えています。私が最初に保有した会社の株式はお小遣い程度で購入できましたが、とりあえずエイヤーで事前に会社情報を調べることなくスタートしたため、そこから新聞やインターネットで情報をかき集めて、今後も保有し続けるべきかどうか自分なりに調べていたことを思い出します。たとえば、その会社がどのような業界に所属し、どの位置にいるのか、取り扱っている商品はどういうものがあり、これから何に力を入れていこうとしているのか…といった情報を拾うだけでも、経済の繋がりが分かり、そして経済が生きものであることを理解することができます。株式投資から経済の仕組みを学べるといっても過言ではないかと思います。
先に述べたように、私はインカムゲイン派であるため、大半の株式をすぐに売却するようなことはしません。ですので、長期保有するためにも、即購入することはほとんどなく、毎日値動きや会社の状況を確認しながら、ここかなと思えるタイミングまで見続けることが多いです。
この見続けるということが重要だと私は考えています。状況によっては1年以上追っかける銘柄もありますが、1年見続けると、その会社の変化に気付きやすくなり、どういった場面で強く値が動くのか、反対にどういった場面でダウンしやすいのか、ある程度は直感的にわかるような気がします。もちろん、すべてのケースでその感覚が当てはまっていたならば、不労所得のみで生活し、この場にいなかったかもしれませんが…
支店運営においても見続けることの大切を日々痛感しています。ヒトの変化、モノの変化、コトの変化…我々を取り巻く環境は変化ばかりで、ときには見えにくい変化が組織に多大なる影響を与えることもあります。その変化に気付くためにも、見続けるという定点観測は必要不可欠なものになります。
大阪支店長 東 武志