4月より、雇入れ時・更新時における労働条件の明示ルールが変更となりますが、これと同様の趣旨で、求人を行う際の労働条件の明示ルールについても変更となります。今回はこの変更に関する実務上の注意点をとり上げます。
[1]4月からの変更点
4月より、求人を行う際に明示すべき労働条件として、以下の事項が追加されます。
1.従事すべき業務の変更の範囲
2.就業場所の変更の範囲
3.有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)
求人を行う際には、これまでも求人募集を行う業務とその就業場所を明示していますが、今後は「業務内容の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」の明示も必要になります。この変更の範囲は、将来の配置転換など雇入れ後の見込みも含めた、締結する労働契約の期間中における変更の範囲のことをいいます。そのため、例えば、雇入れ直後は法人営業の業務を予定しているものの、締結する労働契約の期間中に、製造業務を除く業務全般に携わる可能性があれば、変更の範囲の箇所には、「製造業務を除く当社業務全般」のように明示することとなります。
次に、有期労働契約を更新する場合の基準については、労働契約の更新がありうるとしたときは、その判断基準を明示する必要があり、記載例としては以下のようになります。
通算契約期間は4年を上限とする。
判断基準の記載についても、「諸般の事情を総合的に考慮したうえで判断する」というような抽象的なものではなく、「勤務成績、態度により判断する」、「会社の経営状況により判断する」など、具体的に記載することが望ましいとされています。
[2]実務上の注意点
今回の変更により、明示する項目が増えるため、求人広告のスペースが足りないといったケースが考えられます。このようなやむを得ない場合には、「詳細は面談時にお伝えします」のように記載した上で、別のタイミングで明示することも可能とされています。この場合、原則、面接などで求職者と最初に接触する時点までに、すべての労働条件を明示する必要があります。
1次面接を現場の所属長に任せているといったケースがあるため、この場合、明示しなければならない項目を伝えることを漏らすといったことが考えられます。そのため、実務上の注意点として、面接時の資料を印刷して渡すなどの対応が求められます。
今回とり上げた求人を行う際の労働条件の明示の内容と、雇入れ時の労働条件の明示の内容とは、基本的には合致することになります。求人募集時に明示されていなかったという問題が起きないように社内のフローを整理しておきましょう。
■参考リンク
厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。