「働かないおじさん」という言葉を皆さんもどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。もしかしたら、思い当たる人が同じ職場にいるなんていう方もいるかもしれませんね。労働人口の減少が社会問題である昨今において、女性躍進や外国人材の積極的な雇用など多様な人材の活用が叫ばれていますが、「働かないおじさん」にも目を向けて人材開発を進めていきたいものです。

 

 働かないおじさんというと「デスクに座りボーっとしている人」とか「営業に行くふりをして外でサボっている人」といういわゆるサボリーマンを思い浮かべる方もいると思いますが、現代の働かないおじさんは一昔前のそれとは違い、真面目でコツコツ働いているのに働かないおじさんというレッテルを貼られてしまうというケースが多いそうです。

 

 なぜコツコツ働いているのに、働かないおじさんというレッテルを貼られてしまうミドルシニア層が増加しているのでしょうか。

 

 年功序列の文化が根強い日本においては年齢に応じて賃金も上がっていく仕組みが多いため、若手社員からすると「なぜあの人が自分より役職も上で給料も高いのか」と納得しない構造に陥りやすいという構造的な問題が前提としてありますが、役職や給与に見合ったパフォーマンスを発揮できていないということが原因であると考えられます。

 

 期待されたパフォーマンスを発揮できていないといったことはミドルシニア層に限った話しではありせんが、中高年のミドルシニア層は若手社員に比べ役職や賃金が高い場合が多いためよけいに目立つというものです。

 

 前述したような構造的な問題はあるにせよ、時代の変化に応じて知識や技術のアップデートができていないということがミドルシニア層の根本的な問題だと考えます。とあるアンケート調査によれば、45歳以上のミドルシニア層のほとんどが新たな知識や技術の習得のため自ら学習する時間をつくっていないという結果だったそうです。特に変化の激しいデジタルの分野においては、アップデートを怠るとあっという間に取り残されてしまうので、会社としても「働かないおじさん」が自然発生しないように、学習の機会を提供することも必要になってきます。

 

 これからのミドルシニア層は、目まぐるしく変化するデジタル分野の知識や技術をアップデートすることはもちろん、多様な価値観を持った人と多様なキャリアを歩んでいくことが求められます。自戒の念もこめて、ミドルシニア層の人材開発に向き合っていかねばと思う今日この頃です。

 

東京支店長 白倉 玄