働き方改革の概要が発表され、長時間労働の是正や割増賃金の見直し、年次有給休暇の取得等々、多くの企業様が関心を示されていることかと思います。施行はまだ先の話、と悠長に構えるわけにはいきません。施行されるまでの間に試験運用を開始、もしくは社内の問題点の洗い出しや改善事項の着手に取り組まれている企業様も既に少なくありません。
こうした法案ができたら否が応にも取り組まなくてはいけませんが、「義務」ではない「努力義務」の部分についてはいかがでしょうか。例えば勤務間インターバル。
「前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければならないこととする。」
とされていますが、これは努力義務。生産性だとかを視野に入れると、勤務間インターバルも非常に有意義な制度です。勤務間インターバルを既に導入されている企業様ももちろんいらっしゃいますが、多くの企業が制度導入を検討しているかと言えば、そこには意識の乖離があるように思います。
また、男性の育児休業も言ってしまえば取得を促している程度で強制力はありません。男性の育児休業を義務付ける企業様がいらっしゃって大変注目されましたが、注目されるということは、それだけまだまだ男性の育児休業取得が進んでいないということの表れだと思います。ここにも大企業と中小企業では意識の乖離があるように思います。
男性の育児休業についてもう少し掘り下げてみると、育児休業取得にあたり弊害になっているのが「企業の理解」「まわりの従業員の理解」のようです。こうした理解を深めることも働き方改革だと思いますし、働きやすさ、労働環境の充実、これらが伴っている企業こそが人事・労務管理の体力があり強い企業だと言えます。逆にこうした制度がない場合、労働者の流出に繋がり人材不足に陥る可能性も今後は否めません。
働き方改革と一言で表しても、企業によって取り組む内容は様々になるかと思います。義務付けられているものの導入はもちろんとして、そうでない部分に取り組むか否かが「企業独自の働き方改革」に繋がるでしょう。
福岡支店長 木村 和人