地上波テレビを見ていると圧倒的に国内の状況(やれトイレットペーパーが品薄だ、外出の自粛要請が出ているのに花見にでかけている等)を過剰な演出を伴って伝えることが多いですが、SNSで流れてくる現地のレポートや、ネット上の外国のニュースサイトを見ていると、非常に深刻な状況を、淡々とシリアスに伝える姿勢が多いことに気づきます。実際に日本国内のムードもまだ諸外国に比べると全然「ぬるい」のは、その伝え方が受け手に影響するところが大きいのではないでしょうか(スーパーの陳列棚が空っぽになった映像をわざわざ放送したあとに「買い占めはやめてください」とスタジオのアナウンサーが言うピントのずれ方もそうですね)
あわせて各国政府(やそのリーダー)の動きの違いも際立ってきます。感染拡大を防止するために会社や商店へ休業命令措置を行った上でその補償もセットで行う国。国民全員に現金給付をする国。また、「アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要なのだ。特に今は」と述べ、文化施設や芸術家の存在を確保しようとするドイツのような国もあります。
もちろん、感染状況も違えば文化的な背景も違う中で、単純に比較することにはあまり意味がないのかもしれません。しかし、各国リーダーそれぞれの会見等で、国民に自分の言葉でしっかりとメッセージを伝えるような姿を見ていると、「ああ、こんなリーダーだったらなあ」と――布マスク2枚では残念ながら――思わずにはいられないことがしばしばあります。
経営者のみなさんにとっても、どのタイミングでどんな判断をし、それをどう伝えるのか。従業員や部下からはそこが見られているのです。いいえ、ジャッジされると言ってもいいでしょう。
有事にこそ、リーダーの素養が顕になります。そしてその組織の将来も決定づけることになるでしょう。
兵庫支店長 増尾 倫能