ついつい人は他人と自分を比べてしまうものです。
社会的比較理論の提唱者であるレオン・フェスティンガーは、人が他人と自分を比較してしまうのは本能、あるいは無意識の反応であると言っています。ある調査によると、「自分と他人を比べて落ち込むことがある」と答えた人は全体の45.2%に及んだそうです。落ち込む・落ち込まないはその人の性格にも左右されるとは思いますが、比較してしまうこと自体は人間が元来持ち合わせている行為ということですね。
比べてしまうのも事実、比べることによって多くの人が落ち込んでしまうのもまた事実。まさに八方塞がりですが、本能や無意識の反応を変えることは出来ないので、少し思考を変えて「過去の自分」と比べることを取り入れてみてはどうでしょう。3か月前の自分、1年前の自分、3年前、10年前の自分。今の自分に満足出来ていないとしても、1年前と比べると成長しているのではないでしょうか。
もし過去の自分と比べて成長していないのであれば今から頑張れば良いのです。頑張って半年、1年後に結果を出す。そうすると、「以前の自分と比べてこれだけ成長した」と言えるはずです。成長を実感できると「もっと頑張ろう」とモチベーションが湧いてきますし少しずつでも結果が出始めるとさらにやる気も湧いてくるものです。
他人と比べると「劣っている部分」が浮き彫りになり、過去の自分と比べると「変化した部分」が浮き彫りになります。周りの人の成長度合いを操作できるはずもないので、マイナス部分に捉われるのではなく、自分がどう成長したかを追っていくほうが意味のあることだと思います。また、過去の自分より成長しているとするなら、劣っている部分が膨らんでいくこともないでしょう。
先日、メジャーリーガーの大谷翔平選手が満票でアメリカンリーグのMVPを受賞しました。今までの話の流れから比較対象として出す名前にしてはスケールが大きすぎますね(笑)。ですが、野球人として不可欠な心技体を磨くための考え方や取り組みはとても参考になります。同時に(スポーツ界に限った話ではないですが)、成功する人には才能以外にも、「努力を継続できる能力」が備わっている気がしてなりません。
「継続は力なり」を実践することの難しさは誰しもが知っています。この能力は一体どうすれば備わるかと考えると、やはり「なりたい自分への飽くなき向上心」に行きつきます。この想いこそが過去の自分を超えるために必要不可欠な要素なのでしょうね。
福岡支店長 城戸 康行