最近のグルメ番組では「デカ盛り」が流行っているようで、このボリュームでこんなに安いの!というお店がよくとりあげられていますね。そんな流行りに警笛を鳴らすかのように、とある飲食店の経営者が言っていたことが非常に印象に残っています。

 「私は、お客さんの喜ぶ顔がみたいからと利益度外視でデカ盛り料理を出すことが美談としてとりあげられる最近のデカ盛りブームが嫌いでしかたない。そういうお店は無くなってほしいとさえ思う。」

 なんと非情なことを言うのでしょう。学生やサラリーマンに安くてお腹いっぱいになってほしいと奮闘している心優しい店主に対してあまりにも可哀想ではないか。

 しかし、理由を聞いて納得です。この経営者曰く、そういったお店が一軒あると、そのお店周辺の飲食店も価格を下げざるをえなくなるため、飲食業界の慢性的な低価格競争の原因になっているというのです。つまり、飲食業界の価値を下げてしまっていると。それだけでなく、こういったデカ盛りが注目を集めると、飲食店で安くたくさん食べられるのは当然というイメージができあがってしまうという事も懸念していました。

 なるほど、自分のお店だけをみているのではなく業界全体を変えていきたいという使命感を持って経営をされているのだなと。

 一度できあがったイメージはそう簡単には変えることができませんし、社会が求めるものも常に変化していきます。そう考えると、我々は社会にどんな価値を提供していくのかということを常に追求し続けなければなりませんね。

 食文化が豊かなフランスでは、料理人は芸術家として尊敬される職業として社会的ステータスがあるそうです。目先の売上や流行に振り回されて社会が求める存在意義を見失わないようにしたいものです。

 

東京支店長 白倉 玄