人事の世界で仕事をしていて、最近は外資系企業や外国人雇用とかかわることが増えてきました。外国人のマネジメントや制度導入に際して、やはり日本的な感覚では難しいというか、洋の東西について意識させられることもまた増えてきました。

 

 windows95が発売されて以来、世界は徐々につながって国境や人種といった境目が薄まってきているような感覚がありましたが…まったくの錯覚でした。コロナの発生によって東西で深刻度というかダメージがずいぶん違い、身体的な違いというのは感じたのですが、それのみならず思想やビジネスにいたるまで、改めて違いを感じた次第です。

 

 まず思いつくのは、やはり東洋の集団主義と西洋の個人主義でしょうか。その背景には宗教が深く関係していて話が長くなるので割愛しますが、どちらが良い悪いという話ではなく、その特性を正しく認識しておくことは重要かと思います。

 

 東洋は集団主義が強く、団結して力を発揮しますね。連携して1+1を3や4にする力は素晴らしいと思います。個々でも、多少の矛盾があってもバランスをとって進められます。他の特性としては、自我の弱さや思考の複雑さというのははっきりしています。

 

 一方、西洋は個人主義が進んでおり、一つひとつ分担と役割を決めて仕分けをはっきりした上でないと進めない特性はありますが、それが適えば本当に強い。また自我の強さや思考のシンプルさも特徴があり、東洋とは対照的な特性ですね。

 

 こういった特性を人事制度として活かそうとすると、自ずと東洋ではメンバーシップ型に、西洋ではジョブ型になります。あくまでそれぞれの特性に合わせたものであり、制度自体の優劣でもありません。

 

 しかし…何かにつけ西洋の方に一日の長があると思われがちなのは、人事制度も例外ではありません。業界業種や自社の特性を考えずにジョブ型を導入しようとする企業の多いこと!外よりもまず内にこそ目を向けるべきなのではと思ってしまいます。

 

 もちろん西洋にも素晴らしい仕組みや思想がありますが、それらはすべて西洋人や西洋文化をベースにしてのこと。東洋において単純にそれらを導入したとて、なかなかうまくはいかないでしょう。洋の東西だけに限りませんが、それが本当に自分たちに合っているのか、まずそれを思考したいですね。互いを尊重しながらも、自分たちにも適合する優れた部分を取り入れあうような、そんな社会を夢見る今日この頃です。

 

大阪支店長 𠮷村 徳男