「小言を言わない」 子育てをする時に私が一番気を付けていることです。

 

 きっかけは子育てに関する一冊の本に出会ったことです。その本の内容を要約すると、「親は先回りしてあーだこーだと小言を言うのではなく、子供は困難を乗り越える力を持っていると信じて見守りましょう」ということがその本には書かれていました。

 

 この本を読むまでは、食事の時間だけを切りとっても「野菜ちゃんと食べないと大きくなれないから、まずこの野菜をたべちゃいなさい」とか、「その注ぎ方じゃあ牛乳こぼれちゃうから、こうやって注ぎなさい」とか、極めつけは「早くご飯食べなさい」などなど、今振り返ると、楽しいはずの食事の時間が子供にとって苦痛の時間になってしまっていたんだろうなと思います。

 

 ついつい口にしてしまうこういった小言は、子供の将来を心配しての事だから当たり前。むしろ、そういった躾をしっかりやってこそ良い親であるとさえ思っていましたが、この本を読んで考え方が180度変わりました。

 

 親が先回りして障害となりうるであろうことを取り除いてしまうことで、転ぶこともできないまま大人になってしまう方が恐いと思うようになりましたし、転んでも立ち上がって前に進む姿を親として見れないなんてもったいないと思うようにもなりました。そして何より、ことある毎に小言を言われる子供の気持ちを考えたとき、親が発する小言が子供の自己肯定感を削ってしまっているということに気付づきました。

 

 これは職場でも同じことが言えるのではないかと思います。仕事をするうえで一番苦しいのは、忙しいことや上司から注意されることではなく、自己評価が極端に低くなって自己肯定感が削られている時であると言われています。部下のやる気がないと悩んでいる上司は、ついつい口にしている小言が部下のやる気や自信を削ってしまっていないか気をつける必要があるかもしれません。

 

 この「小言を言わない」ということ、取り組んでみるとわかりますが、非常に難しいです。私は取り組みはじめて1年ほど経ちますが、今日もいらない小言を言ってしまったなと後から気づき反省する毎日です。「こぼした牛乳は拭いてあげるからやってみなさい」そう言って見守ってあげられる上司で在りたいものです。

 

東京支店長 白倉 玄