厚生労働省の発表によると9月の有効求人倍率は1.34倍という結果で、2019年以前は1.5倍を超えていたのでコロナ禍前の水準には及ばない状況ではありますが回復傾向にあると言えます。
有効求人倍率が1倍を超えると売り手市場と呼ばれ、求人数が多いので求職者は仕事を選べる状態にあるため就職や転職がスムーズに進みます。一方で、求人募集をしている企業からすると、求める人材を確保するのが困難な状況であると言えます。
そこで近年ではSNSなどを活用した採用手法などを取り入れている企業も増えてきているようです。就職サイトのスカウト機能を使ってメッセージを送るだけではなく、TwitterやFacebookなどでメッセージを送るダイレクトリクルーティングという方法でアプローチするものです。他にも、自社保有のメディア(WEBサイトやブログ、TwitterやFacebook、Instagramなどなど)で会社の理念や制度、社員の様子などを発信して認知度や潜在層にアプローチする採用オウンドメディアという方法も注目されています。
しかし、こういったソーシャルメディアを活用した採用活動の効果がいかほどなものか疑問をぬぐいきれないところがあります。
求職者が求人情報をみて応募するかしないかを判断する材料として大きな要素を占めるのが「口コミ」だそうです。これは点数が良い悪いはそれほど重要ではなく(あまりにも点数が悪いと当然はじかれますが)、リアルを知ることができるかという点が重要なようです。
リアルを知りたいという点では、ソーシャルメディアを活用した採用活動より、リファラル採用が有効的と言えます。自社の社員からの紹介なので求職者にとってはリアルを知ったうえで応募することができ、企業からしても市場に出てこない優秀な人材にアプローチすることができるためリファラル採用を取り入れたいという相談は年々増えています。
このように採用方法を工夫することも必要な時代ではありますが、採用活動を成功させるために何より重要なことは、「隗より始めよ(かいよりはじめよ)」だとつくづく感じます。
この諺は「大事をなすには手近なところから着手せよ」という意味で、中国戦国時代に、王様が優れた人材を求めた際に「もし王様が、優れた人材を広く集めようとなさっているのなら、まずわたくしのような取り柄もない人間を重用してください。わたくしのようなものさえ抜擢してくれるという評判がたてば、もっと優れた人材は集まってきます」と王様に説いたことが由来とされています。
様々な採用手法を駆使してお金と労力をかけて優秀な人材を採用することができたとしても、定着し成長しなければ採用が成功したとは言えません。私自身、この言葉を胸に刻み日々共に働くスタッフに向き合っていきたいと思う今日この頃です。
東京支店長 白倉 玄