人生というキャリアの形成を図るなかで、私たちは様々な人生のイベントに遭遇します。

 

 仕事に関する事であれば、就職、人事異動、配置転換、転勤、転職…プライベートであれば、出会い、別れ、結婚、出産、育児、介護… 自身のイベントは勿論、大切な仲間やパートナー、家族であっても自身のキャリア形成に影響を与えるケースは少なくありません。 

 

 それらのイベントが意図したもの・予定されたものであれば心の準備ができている可能性が高いですが、予期せずある日突然イベントに遭遇した場合、どう対処すべきでしょうか?

 

 20世紀末にスタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提唱した「計画された偶発性:プランドハプンスタンス理論」にヒントを得てみたいと思います。

 

 このプランドハプンスタンス理論では、キャリアにおける偶然の出来事の影響を軽視せず、むしろ積極的に取込み、より良いキャリア形成に活用することを提唱した理論です。計画したことを絶対視するのではなく、未来は予測や計画通りに進まないものとして、それらの予期せぬ出来事をうまく新たな学習へ結びづける為には「オープンマインド」であることがとても重要としています。

 

 私はこの「オープンマインド」について、固定観念や理想の根底にある「価値観」を大切にしつつ、ポジティブに目標をアップデートしようと続けようとする状態ととらえています。あえてここに「価値観」を追加したのは、その予期せぬ出来事に遭遇した時の受けた感情も大切にしたいと考えているからです。頭では理解していても心がついていかない状態よりも、心から「そうだ、やってみよう」と感じた方が、よい結果につながる可能性が高いとおもいませんか?

 

 冒頭の「予期せぬ出来事」に突然遭遇した場合の対処ですが、私流の「オープンマインド」でとらえて対処してみます。

 

 ①最初に出来事を受けとめた時の感情を確認する
 ②なぜその感情は発生したか、~であるべき、~すべき、という固定観念はないか?確認する
 ③~でもいいんだ、~してもいいのだ、と固定観念をゆるめて「予期せぬ出来事」について客観的にとらえてみる
 ④「予期せぬ出来事」の中に自分にとってのプラス要素を探す

 

 変化の激しい現代社会においては予期していなかった事態に対応しなければならないケースが多く発生します。経済・社会情勢や天災事変、昨今のコロナもしかりです。またIT技術の発達とともに、これまであった仕事は5年後、10年後には存在しないかもしれません。これらの事態に対して、凝り固まった固定観念や、自身の理想にとらわれていると、知らず知らずのうちに自分の選択肢の幅を狭めてしまい、そこに広がるチャンスに気づけないこともあるかもしれません。

 

 かくいう私も、配偶者の転勤を機に30年来住み慣れた広島を離れ見知らぬ土地であった神戸に移り住み、ご縁があって協心で働くこととなりました。その後、在職中に出産し、育児休業からの復帰を前にして配偶者の単身赴任が決定、所謂ワンオペ生活となり今に至りますが、幸運なことは、これまでの「予期せぬ出来事」を「オープンマインド」でとらえ続ける事ができるように働きかけてくれた周囲のサポートがあった事でしょう。

 

 マネジメントをする側となった今は、メンバーとの対話を通して「予期せぬ出来事」をいろいろな角度から捉えられるようなサポートをしたいと考えています。 その時は、相手を「オープンマインド」の状態にすること以上に、自身が「オープンマインド」で相手の言葉に耳を傾けることは言うまでもありません。

 

神戸支店長 春原 真起子