心理学では、性格はキャラクターとパーソナリティという二つの言葉で定義されているそうです。キャラクターとは環境要因よりも生得的な素質を重視した考え方、一方パーソナリティは生育環境や経験などの環境要因の影響を重視した考え方です。ちなみにここでいう「性格」とは、良い・悪いや、気長・短気と組み合わせて使う単純なものではなく、生物学的・環境的要因から進化する行動、認知、そして情動パターンの特徴的な集合として定義されるものです。いわゆるその人固有の性質、感じ方、考え方、行動の仕方などに現われるその人特有の性向をいいます。
人の性格は先天的な要素と後天的な要素のどちらに強く影響を受けるのでしょう。現代においてもいまだはっきりとはわかっていないようですが、一般的な認識としては、人の考え方や行動は環境や経験、学習など後天的な要素によって身に付くものだと考えられており、これについてはなんとなく私もそう思います。ですが、同じ環境で同じ経験や学習をした全員が、同じ考え方や行動、性格になるかといえば疑問が残ります。
性格を決定づける要素について、ある学説に環境閾値(いきち)説というものがあります。これは、ある人が遺伝子の影響を受けて才能を開花させるためには、それが現れるのに必要な環境が一定の水準(閾値)で与えられていることが前提であるという考え方です。例えば、体型や知能などは遺伝の影響を受けやすいですが、学力を向上させたり語学を習得するためには、そのための環境が用意されていなければならないということです。
したがって、人の性格は遺伝で決まるか、環境で決まるかは、「生まれながらの先天性要素」と環境や成長していく過程で身につけていく「経験や学習」の両方によって、その人の性格が形づくられている(相互作用説)と考えるのが妥当と言えるでしょう。持って生まれたキャラクターに、その人が生きていく中で様々な色付けがなされ、十人十色のパーソナリティが出来上がっていくということですね。
40代も後半にさしかかった私が「生まれながらの先天性要素」を悔やんでももはや滑稽にほかならず、それであれば今後より一層の経験学習が必要で、むしろこれしかないと思っています。今さら先天性要素は変えられませんし、次のステージに向かうためには避けて通れない道だと思っています。
また、マネジメントという視点で見れば、いかにメンバー達にそういった場所(環境)を用意してあげられるかにかかっていると言えます。しかしながら、これも一律に同等の場所を与えればよいわけでもなく、個々が持つ先天性要素との相性や化学反応、伸びしろを十分に考慮する必要があるでしょう。支店の現状、公正さ、監理方法、権限委譲などの問題も付きまとうため一筋縄ではいかないですが、それぞれのメンバーが輝けるよう全力で支援を行っていく所存です。
福岡支店長 城戸 康行