夏の風物詩である甲子園もいよいよ終わりを迎えようとしていますが、サッカー好きの私はサッカー女子ワールドカップで躍動したなでしこジャパンに胸を熱くさせてもらった夏となりました。
優勝を目標に挑んだ今大会は、残念ながらベスト8という結果ではありましたが、なでしこジャパンの魅力が世界に伝わった大会になったと思います。予選から試合を重ねるごとにスタジアムには日本人以外でもなでしこジャパンを応援する外国人の姿が多く見られ、プレーの魅力のみならず、選手たちの振る舞いも世界に大きなインパクトを与えたようで、また観たいチームだったと世界的な評価をうけました。
日本の女子サッカーが一気に盛り上がりをみせたきっかけが12年前の女子ワールドカップでの優勝です。今でも当時の記憶が鮮明に残っている方も多いのではないでしょうか。先制されるも同点に追いつき、延長戦でもまた先制されてしまうのですが、それでも追いつき、最後はPK戦を制して劇的な勝利という試合で、どんな困難に直面しても決して諦めずに戦う姿が、東日本大地震からの復興に奔走する人達の心をどれほど勇気づけたことでしょうか。
今回のワールドカップではそういった社会的な背景はありませんが、私はかなりのめり込んで観ていました。なぜかというと、今回のワールドカップで躍動した選手達は12年前の優勝をテレビで観てサッカーをはじめたり、いつかあの舞台で活躍するんだという夢を持ってこの12年間努力してきた選手達で、ワールドカップで戦う姿を鮮明にイメージできた世代の力を楽しみにしていたからです。そして、期待通り素晴らしい活躍を魅せてくれました。
人材育成や教育を考えるとき、ついつい研修や指導方法といったことに頭が向きがちですが、目指すべき姿を鮮明にイメージできる環境が抜けてしまっていないか気をつけなければなりません。職場という環境であれば、当然ですが先輩社員の仕事ぶりがそれにあたります。新人研修や管理職研修といった階層ごとの研修も必要ですが、年齢層で組織を分析してみるとまた新しい発見があるはずです。
余談ですが、なでしこジャパンは2007年になでしこらしい選手を「ひたむき 芯が強い 明るい 礼儀正しい」と定義し、「世界のなでしこになる」というビジョンを掲げました。そして、2011年に優勝することで文字だけではなく映像としてより鮮明にイメージできる環境が整いました。今回の大会では、目標は達成できませんでしたが、なでしこジャパンが掲げる目的(ビジョン)は達成できたと言えます。そう考えると、今日の自分自身の仕事ぶりが5年、10年後輩の社員にどんな影響を与えているのか、身が引き締まる想いです。
東京支店長 白倉 玄