かのエルトン・ジョンは、1976年に”Sorry Seems To Be The Hardest Word”という曲を残しています。直訳すれば「“ごめん”という言葉は一番辛い言葉に思える」でしょうか。歌詞の内容を見てみると、大切な人との別れを歌った曲となっていて、その大切な相手から「ごめんなさい」と謝られることがすなわち二人の関係を終わりにしたいという意思表示であり、一番辛い言葉だ、というわけです。
曲のタイトルに込められた意味とは全く違いますが、“ごめん”という言葉は、それを発する側にとっても一番言い辛い言葉なのではないかと、最近特に感じます。つまり「自分の間違いを素直に認め、謝ること」が本当に出来ないケースを良く目にするのです。
自分が正しいと思って決断したことなので、それが間違っていたとなれば責任を取らなければいけないし、批判もされる。今後どうするという新しいプランも考えなければならない。そして、一旦決めたことを変えることで信頼を失うかもしれない。そんな思いがあるのかもしれません。
もちろん、首尾一貫して決めたことを守り抜く人は格好良いと思います。だけど明らかに間違いだとわかっているのに自分の考えに固執して決して間違いを認めないリーダーを、部下たちは一体どんな気持ちで見ることになるでしょうか。ブレていないフリをしていることぐらい、すぐに見抜かれてしまいます。
組織のリーダーに不可欠な要素はいくつかあるでしょう。その中で一番重要な要素のひとつに、「間違いを認めること」があるのではないかと、今日もテレビの中のニュース番組に映る某国のリーダーを見て思うのです。
今日正しくても明日は正しいかどうかわからない。
このあらゆる物事が目まぐるしく流れていく現代において、さっと昨日の自分の間違いをきちんと認めて、その上で軽やかに新しいステージを駆け上がっていきたいものです。
兵庫支店長 増尾 倫能