野村証券㈱が「支店長まで出世する人材の共通点」を探るべく数億円をかけて外部のコンサルティング会社に調査依頼をした結果がとても興味深いものでした。

 どんな性格でどういう考えを持った人なのか、学歴や家庭環境、世帯年収、延いては親の職業など様々な要素を元に調査した結果、そのほとんどが関係なく「入社して1番最初についた上司が優秀」が共通点だったということがわかりました。

 これには多くの人が共感しており「この調査結果は納得」、「会社に入ってから本当に実感する」、「社会人としてやっていく上で全ての基準になる気がする」などの感想が上がっています。では私はというと、新卒で入社した会社-いわゆる前職の会社ではとても優秀な上司との出会いがありました。もう25年の前の話ですが今でもその後の人生において核となる言葉をもらったことが思い出されます。

 さて2社目。今の事務所、協心です。世間的にはすでに「いい大人」だったため結局は自分次第だというのが個人的な感想ですが、やりたいことを半ば自由にやらせてもらい経験を積むことが出来たということは、そういった環境を作ってもらえたこと、そのような働き方を許容していただけたという点でとても恵まれていたと思います。

 話は変わりますが、最近「親ガチャ」という言葉が話題となりました。要するに、自分の両親や生まれた家庭環境は選べない、言うなれば完全な運任せであることをソーシャルゲームの「ガチャ(=クジ引き)」になぞらえたネットスラングです。一部のメディアで取り上げられ表舞台に出たこの言葉。ここぞとばかりに面白がって様々な論争が巻き起こりました。

 この言葉を使う理由は軽い感じのものから切羽詰まったものまで様々なので一概に肯定や批判をするものでもないですが、程度に差があるにせよ誰しもが自分の能力では超えられない何かに不満や苦しみを抱いていることがうかがえます。

 先述した野村證券㈱の話ですが、多くの共感が集まった一方で、「まさに上司ガチャ」など上司を選べないことから運要素がすぎるという嘆きも実は多く寄せられていました。身につまされると同時に部下の成長の一端を担っている、いや大部分を担っているのだと再認識させられます。そんな重責を負っていることをしっかり心に刻み、私自身もっと成長していかねばと思う今日この頃です。

 

福岡支店長 城戸 康行