チームマネジメントや上司部下の関係において、心理的安全性の重要性が強調されることが多くなりました。また、いまだにスポーツ界で頻繁に報道される体罰問題などもあり、ビジネスシーンだけでなく学校や部活、サークル活動など様々な場面においても注目されるようになってきました。
私の息子が通うスポーツ少年団をとりまく環境も目を覆いたくなるような光景がいまだに続いております。試合ともなるとベンチから監督の大声が聞こえてきて、子供達は萎縮してしまい監督の声だけがピッチに響き渡るというなんとも耳を覆いたくなる始末です。当然、心理的安全性があるとは言えない環境です。
では、心理的安全性がある環境とはどういうことでしょうか。心理的安全性という言葉のイメージが先行し、ビジネスの現場でも少々誤解されて解釈されている傾向にあるようです。よくある誤解として、「ストレスのない心地良い職場環境」や「誰にでも優しく感じ良く接する職場環境」といったことをイメージする人が多いようです。
しかし、心理的安全性とは単なる快適な職場を意味するものではなく、むしろ建設的に「反対意見を言い合える環境」が本来の姿であります。つまり、心理的安全性があるからこそ、「率直に発言したり、懸念や疑問やアイデアを話したりすることによる対人関係のリスクを安心して取れる」ということです。例えば、相手と異なる意見を言ったり、ミスを指摘したりしても、非難されたり恥をかいたりせず、不明点を質問し、率直に議論できる環境ということです。
ここで重要なのは、失敗やミスをリーダーやその組織自体がどのように捉えているかということです。失敗やミスは起こりえることで、大切なのはその失敗やミスから次になにを創り出せるかに焦点を当てられる社風や文化が必要なのではないかと思います。
このあたり、参考にしたいのはサッカー日本代表の森保監督のマネジメントです。森保監督は選手達に、「試合をしていると積極的なプレーと消極的なプレーのどちらを選ぶか選択を迫られることがある。その時は失敗してもいいから絶対に積極的なプレーを選択してほしい」と必ず伝えているそうです。積極的なプレーは見方を変えるとリスクが高いプレーということになります。しかし、リスクを恐れて消極的なプレーを選択するのではなく、失敗してもいいからチャレンジして、そのチャレンジから次に繋げてほしいと考えているそうです。
このように、心理的安全性とは快適さではなく失敗やミスを恐れることなく安心してチャレンジできる環境であるかどうかということです。快適な職場を履き違えることなく、安心してチャレンジできる環境づくりに取り組んでいきたいと思う今日この頃です。
東京支店長 白倉 玄