最近、冷静な態度、冷笑的なスタンス、あるいは熱くならないということが「良いこと」とされているように感じることがあります。
今日ではSNSの普及によって、大勢の人々の意見が洪水のように溢れ、今日もどこかしらで価値観の違い等によるちょっとした(あるいは激しい)ぶつかり合いが発生しているわけですが、そういう渦の中に入らず、遠巻きに眺めながら「おいおい、お互いそう熱くなるなよ。そういうのって、クールじゃないぜ」という感じで距離を置くその姿勢が格好良いとされている気がしてならないのです。
もちろん感情のままに支離滅裂な意見を大声で叫んだり、怒りに任せて相手のことを徹底的に罵ることは確かにクールじゃない。だけど、自分の想いを熱く語ることさえ手放してしまうのは残念に思うのです。こんな先行きの見えない冷笑的な時代の中にあって、自分の思いや考えをしっかりと持ち、それを熱く語れるなんて(逆に)最高にクールな姿なんじゃないのか、とさえ思います。
例えば、本当に良い仕事をしようと思えば、そこには「相手の役に立つにはどうしたら良いだろうか」「お客様に喜んで頂くためには何が必要だろうか」「目の前の困っている人たちを自分達のサービスで助けたい」といった情熱が必要になるでしょう。本当の顧客満足は、決して小手先の技術やセールストークで得られるものではなく、いつだってそうした熱い想いを通してしか得られないはずです。
VUCAと呼ばれるこの予測不可能な時代、何もかもが新しく変わっていきそうな気になってしまいます。今日の常識は明日の非常識といった具合に。いずれはこんな「情熱をもっと!」というような物言いは完全に少数派となり、まるで化石のような意見だと言われるようになるのかもしれません。しかしせめてそれまではもう少しの間、この流れに抗ってみたいと感じています。
兵庫支店長 増尾 倫能