"目標は定量的に"

 

 社会人になり目標を設定する時に誰もが一度は言われたことがあるのではないでしょうか。定量的な目標は数値を用いるため誰がみても分かりやすく測定可能であるため、評価する側としてもなるべく定量的にといきたいところだと思います。

 

 しかし、定量的にということに意識が行き過ぎて、定量的に設定できる目標は何があるだろうという観点から目標を探してしまうことはありませんでしょうか。

 

 営業職であれば売上という数字があるので定量的な目標は設定しやすいと思います。

 

 一方で、事務的な仕事はというと

 

・生産性10%向上を目指して月間の処理件数を100件から110件にする
・業務の正確性向上を目指して月間のエラー件数を5件から2件までに減らす

 

 こういった目標を設定するケースが多いのではないでしょうか。

 

 こうした目標はスキルに着目しているため、入社3年目くらいまでであれば成長が実感できるのでモチベーションという側面からしても良いと思います。しかし、入社して5年、10年経った人がこういった目標を設定していたとしたらどうでしょうか。

 

 スキルはある一定程度までいくと成長率が落ちてきます。英語を勉強して1カ月の人と1年の人との差と、10年の人と11年の人との差を比べたらイメージしやすいと思いますが、レベル10から11にするのは比較的簡単ですが、レベル90から91にするには時間がかかります。つまり、スキルにばかり目を向けてしまうと労力の割には成長がなく、会社への貢献度も低くなってしまうということです。

 

 職種によっては、90を90.5や90.6にと少しでもスキルを磨く職人のような考えで仕事に取り組むことを求められることもありますが、多くの仕事ではスキルに時間と労力をかけることがムダになってしまうケースがあるので上司の関わり方も気をつけなければなりません。

 

 こんなとき私が意識しているのは、スキルからスタンスへ視点を変えさえることです。

 

 処理スピードを上げるために何をすればいいのかを考えるのがスキルで、そもそも何を伸ばしていけばいいのかを考えるのがスタンスといったところでしょうか。

 

 スタンスを考えるときに必ず必要になるのが他者の存在です。会社のなかで自分に求められていることは何か。何を伸ばしたら会社から必要とされる人材になれるか。組織を俯瞰してみることではじめてスタンスが定まります。自分ではみつけられないという人もいると思いますので、そんな時こそ上司の出番ではないでしょうか。

 

 さて、ここまで偉そうに書いてきましたが、私自身スタンスが定まっているかといわれると自信を持って答えることができません。日々スタンスが揺らぐこともありますが、今いる仲間と一緒に成長していきたいものです。

 

東京支店長 白倉 玄