カセットテープ、レコード、使い捨てカメラ、クリームソーダ、純喫茶・・・これらはここ10年近く、巷で流行っているものです。いわゆる、昭和レトロブームですね。

 

 私が幼い頃に当たり前のように接してきたモノや場所などが、今の時代では価値あるものとして存在し、人々はそれに魅力を感じて、SNSを中心に情報発信しています。

 

 では、なぜブームが起きているのでしょうか。調べてみると、現代社会そのものが大きな要因となっているようです。

 

 まず一つに、懐かしさや過去への郷愁感情が挙げられます。昭和時代は戦後復興から高度経済成長までの時期であり、人々はその時代に生きた独自の文化や価値観に触れ、懐かしい思い出や良い時代だったという感慨に浸ります。これは現代社会の複雑さや急激な変化に対する安定を求め、過去への憧れとして表れているのではないかと思います。

 

 次に、昭和時代のアイコンやエッセンスは、独自の雰囲気や簡素な美しさを持っていて、これが新しい価値観として再評価されているということです。昭和のデザインやアート、映画、音楽などはシンプルでありながらも深い意味を持ち、現代の複雑なデジタル社会で埋もれがちな温かみや人間味を感じさせます。このアナログ感がいいのでしょうね。デジタル化が進む中での一種の逃避やバランスを求める要素として捉えられている気がします。

 

 また、若い世代による新たな発見としての側面もあります。若い世代が昭和時代のアートに触れ、それを自分たちのスタイルの一部として取り入れることで、新しいアートやトレンドを発信したり、過去の遺産を再解釈して、新たなクリエイティブなものを生み出すようになります。確かに、同じではありませんが、どこか懐かしさを感じさせるといったものは数多く存在しています。

 

 つまり、昭和レトロブームは単なる懐古趣味にとどまらず、過去と現在やアナログとデジタルの対比、そして新旧の融合によって生まれる新たな価値観の形成といった多様な要素が影響しているからこそ、一過性に終わるようなものにならず、人々に浸透してきたのでしょうね。

 

 今まさに、令和の常識に昭和のダメおやじの尺度で物申しつつ、視聴者に現代社会を客観視させる民放ドラマが放送されています。昭和世代が令和のコンプライアンス社会に感じる窮屈さや不自由を投げかける・・・その時代を過ごした人々から絶賛を受ける一方、若い世代の中には微妙に感じている人もいて、世代のよって感じ方が異なるなど、温度差もでているようです。ただ、その温度差を敢えて狙って制作されたドラマのようにも感じます。

 

 テクノロジーの進化に伴うデジタル社会の発展は生産性や効率性を高めてくれます。ただ、ドラマの中でも示されているように、ヒトに関わる問題というものは簡単なものではなく、デジタル社会で全て解決されるようなことはありません。やはりそこでは、真正面からヒトと向き合ったアナログな対応が最適解かもしれません。

 

大阪支店長 東 武志