人が大切。なのに、数字を見る。

2026.10.21

Today’s Question(今日の問い)

経営で一番大切なものは、何でしょうか。
そして、経営者は日頃、何を見て経営しているのでしょうか。

Background(きっかけ)

経営者の方に「経営で一番大切なものは何ですか」と問いかけると、
多くの方からは「人です」という回答があります。

私も、その答えに深く共感します。

でも、それに続く質問で「日頃、何を見て経営をしていますか。」と聞くと、
月次決算や売上・利益といった「数字」を挙げる方が多いのではないでしょうか。

もちろん、それは当然のことです。
会社を経営する以上、数字を見ることは欠かせません。

それでも、私は一つの疑問を持ちました。

人が一番大切だと認識しているのに、なぜ数字を中心に経営しているのだろう。

My Perspective(私の仮説)

経営者が人を大切にしていないわけではありません。

むしろ、大切にしたいと思っていても、その状態を十分に把握できていないのではないでしょうか。

財務には決算書があります。

売上や利益だけでなく、資産や負債、資金の状態まで、一定の共通した仕組みで確認することができます。そして、その結果をもとに、次の経営判断を行います。

では、人と組織はどうでしょうか。

社員は成長しているのか。組織は健全な状態にあるのか。理念は日々の行動につながっているのか。

もちろん、人事評価や従業員アンケートなど、個別に把握する方法はあります。しかし、財務決算書のように、人と組織の状態を総合的に振り返り、経営に生かす仕組みは、まだ十分に根付いていないように思います。

人を見ていないのではない。人を見るものがないのではないか。
この問いが、私の新たな挑戦の出発点になりました。

In Practice(実践)

その問いから生まれたのが、現在開発を進めている「標(しるべ)」です。

先日の協心設立10周年記念祭では、この新しい挑戦を、参加いただいた皆さまにご紹介しました。

「標」は、人や組織に優劣をつけるためのものではありません。

財務決算書が会社のお金の状態を映し出すように、人と組織の現在地を見つめ、次の一年を考えるための仕組みです。

人は数字だけで測れるものではありません。だからこそ、数字で捉えられることも、数字では表せないことも含めて、丁寧に向き合いたいと考えています。

まだ開発の途中ですが、これから実際の企業での検証を重ねながら、少しずつ形にしていきたいと考えています。

それでも、この取り組みを通じて、経営者が人と組織を見つめ直す機会をつくることができれば、経営の在り方も少しずつ変わっていくのではないでしょうか。

私が実現したいのは、単に新しい仕組みをつくることではありません。
人を見て経営する会社を、一社でも増やすことです。

Next Question(次の問い)

では、「人と組織を見る」とは、具体的に何を見ることなのでしょうか。

制度でしょうか。働きがいでしょうか。それとも、一人ひとりの成長でしょうか。
人と組織の状態を、どのように捉え、未来につなげていけばよいのか。

これからも、実践を通じて考え続けたいと思います。

協心のことば

人を大切にする経営には、人を見つめる「ものさし」が必要だ。